禁煙するならニコチンガムだ！-3-

Lesson1

ニコチンガムを使った禁煙プログラム ※スケジュールにかなりの個人差があります。各ステップを1ヶ月くらいずつで終了できれば標準的です。
よし、やるぞ！	スケジュール	禁煙外来でカウンセリングの受診	ニコチンガムの使用	禁煙の症状	石井部長からのアドバイス
よし、やるぞ！	準備期間	初診	○ニコチンガムの噛み方や使用法について説明を受けます。	-	○禁煙の意志をしっかりと確認して下さい。 ○禁煙開始日を決めます。 ○家族や会社の同僚などに禁煙を宣言します。 ○ライターや灰皿など喫煙器具を処分します。
く、くるしい！	ステップ1 1か月目（ニコチンガム完全置き換え期間）	１～２週間ごとに	ニコチンガムの使用量の目安１日平均12～8個 ○完全に禁煙してニコチンガムに切り換えます。 ○常にニコチンガムを持ち歩き、タバコを吸いたくなったら、すぐに噛みます。	○離脱（禁断）症状が強く出ます。	○最もつらい時期ですが、ここを乗り切れば最初の関門は突破です。 ○ストレス解消に努め、酒席を避けましょう。 ○ニコチンガムに頼り切ってかまいません。
自信がでてきたぞ！	ステップ2 ２か月目（ニコチンガム減量努力期間）	２～４週間ごとに	ニコチンガムの使用量の目安１日平均8～4個 ○少しずつニコチンガムを減らしていきます。	○離脱（禁断）症状はおさまり、禁煙に自身が持てます。 ○食欲が出て体重が増えます。	○太りやすいので食べ過ぎに注意しましょう。 ○タバコのない生活に慣れてきます。ニコチンガムを減らしても大丈夫なよう気分転換、リラックス法を工夫して下さい。
もう大丈夫！	ステップ３３か月目（ニコチンガム使用終了期間）	２～４週間ごとに	ニコチンガムの使用量の目安１日平均4～2～0個 ○ニコチンガムをゼロにもっていきます。	○禁煙が達成され、健康的な生活がつくられていきます。	○ニコチンガムに頼らないで大丈夫なように努力して下さい。
このまま続けるぞ！	継続期間	３か月後、半年後に再来院	○ニコチンガムは使わず、お守り代わりに持ち歩きます。	-	○新しくつくった生活習慣を大切に。 ○ニコチンガムなしの禁煙を継続させましょう。 ○「ちょっと１本」でこれまでの努力が水のアワになる危険があります。くれぐれも気をつけて下さい。

準備期間
まずカウンセリングを受ける

禁煙完成までの具体的なプロセスを紹介しましょう。ニコチンガムを使った典型的な禁煙プログラムは大きく分けて３段階になります。各段階は標準的には１か月が目安です。その前の準備段階として、まずカウンセリングを受けます。そして禁煙の動機をはっきり自覚するため、例えば誕生日など禁煙開始日を設定します。それを機に、灰皿、ライターなどの喫煙器具を処分します。

ニコチンガムは１粒１２０円。
３か月で５万円足らず！

ところで、気になるガムのお値段は�。健康保険の適用外（自由診療）なので定まった価格はありませんが、ほぼ１粒１２０円前後です。そこで、仮に１日１０個から始めて、１週間ごとに１個減らしたとすると１１週目にはゼロになる計算です。その間の使用個数は３８５個、１粒１２０円とすると計４万６２００円です。それまで吸ってきたタバコ代を考えれば、はるかに安いですね。

ステップ1
辛い時期は一生続かない！

完全に禁煙すると、イライラなどの禁断症状が出て、タバコを吸いたくて我慢できない状態になります。その時、ガムを噛んで症状をやわらげます。タバコの依存度にもよりますが、ニコチン切れの辛い症状は通常１～２週間、長くても１か月ぐらいです。一生続くわけではありません。実際、最初の１週間は1日１０個のガムが必要だったのに、次の１週間は９個、３周目は８個�と減っていきます。辛い症状をガムに頼って辛抱する段階です。タバコの欲しくなりやすい酒席などは避けるようにします。

ステップ２
食欲が出るので食べ過ぎに注意

ニコチン切れの辛い症状はおさまり、ガムの数も減ってきます。禁煙の自信もついてくるので、この間にガムの依存からも脱却できるように、自分なりの気分転換を見つけておくといいでしょう。また、新陳代謝が正常になり、味覚がはっきりして食欲が出てきます。食べ過ぎにはちょっぴり要注意です。

ステップ３
めでたく卒業、ガムはお守りに

ガムはほとんど必要なし、ガムゼロの日を増やすよう努力します。これで一応卒業ですが、お守り代わりにガムは持っているようにお勧めします。

失敗したら再チャレンジ！
あきらめる必要はありません

ニコチンガムを使っての禁煙成功率は高いといっても、完全ではありません。そこで失敗した場合の善後策を石井部長に尋ねてみました。

「１週間はやめられたけど、その後どうしてもタバコに手が伸びてしまった、という例があります。それでも２週間ごとにカウンセリングを受けて再チャレンジするのですが、やはり途中で挫折してしまう。それを３～４回繰り返すということは、やめる気はあるけど真剣ではないのかも知れません。そんなときは、本気になるまで少し間を置いてみるのもひとつの手です。

少々失敗したからといってあきらめることはありません。何度でもトライして下さい。そのためのサポートは惜しみません。」

タバコをやめればベンツが買える！？

ひところ「今日も元気だ、タバコがうまい」というキャッチフレーズがありました。それを見て「今日も元気だ、タバコかうまい」ともじった人がいたそうです。「が」を「か」（買）に変えただけでまったく正反対になるところがミソです。しかし、これは事実で、タバコは健康面だけでなく、経済的にもダメージを与えます。単純な計算をしてみましょう。２５０円のタバコを１日１箱吸ったとします。１か月７５００円、１年では９万円、１０年では９０万円、３０年なら２７０万円�。２箱、３箱のヘビースモーカーはタバコ代だけでみんな“ベンツ”が買えるのです。それを考えたらニコチンガム３か月５万円は安い！ですよね。

私もニコチンガムでタバコをやめました

始めたらガム代がかかって、
もったいないので続けましたよ

Kさん（５９歳・理髪業・東京都・喫煙歴＝４０年・１日の本数＝４０～６０本）

以前から、「タバコをやめよう」と思うことは何度もあったんですが、クレームをつけられるとかえってワガママを通そうとしました。本気で禁煙を考え出したのは去年の夏から入退院を繰り返していた親父が亡くなってからです。親父はヘビースモーカーで、入院中もタバコを離せなかったんです。もちろん病室じゃ吸えませんから、吸いたくなると「喫煙所につれていけ」って、ナースコールをするんです。人生の終幕を前に社会的なルールを守れない。これでは周囲はケアできません。私もヘビーなほうなので、このままだと「オレも同じだ」と思いましたね。寝タバコで焼け焦げを作ったことも何度かあるし�。悪くなってから、突如禁煙しようとしても無理。人生のエンディングを円滑にするにはやめるしかない、それにはいまのうちに、と思って今年４月にＪＲ東京総合病院の石井先生を訪ねたんです。自宅のある八王子から新宿の病院まで片道１時間。それに、１か月のガム代が多い時には４万円。こんなに時間と金を遣うんだから、やめなくてはもったいないと思って禁煙を続け、高いガムを早く減らそうと努力しました。ガムは「高いから価値がある」と思っています。正直なところ、ガムではタバコを吸ったときのような満足感はありませんね。お茶やコーヒーが酒の代わりにならないのと同じです。欲求不満はありましたが、そこそこは我慢ができたというところです。お陰でちょっと太り気味。自慢のスタイルが崩れてきたのが悩みのタネだね。はっはっはっ。

くじけそうになると、
先生の声をテープで聞いて･･･

Fさん（仮名・２５歳・ＯＬ・神奈川県・喫煙歴＝７年・１日の本数＝４０～５０本）

タバコは、友達が吸っているのを見てカッコいいというイメージがあり、好奇心から１７歳で始めました。最初はフカす程度だったんですが、徐々に強いものに移り、禁煙直前には1日４０本、お酒が入ると５０本、それも根元まで吸うようになっていました。

年齢的に結婚、出産を考える時期になったことが禁煙の動機です。それと、高級レストランで食事しても吸わないではいられないとか、会社への往き帰りなど駅のホームで喫煙所を探して、男性に交じって吸っているのはマナー違反というか、女性として罪悪感がありました。７月半ばから石井先生の指導で禁煙にトライしたのですが、開始直後は１日に１２～１３個が必要でした。噛めば離脱症状は幾分おさまるのですが、それでも４日目には辛くて泣いてしまいました。

８日目に禁煙プログラムセンターに相談したところ「もう苦しい時期は過ぎましたよ」といわれたのが大きな救いでした。それでも１か月はガムに頼りっ放し。個数はちっとも減りませんでした。そんなこんなで大変でしたが、先生にカウンセリングを受けるときはカセットテープを持参して録音し、くじけそうになったら聞くようにしたのも効果がありました。ようやく７週目から１日５～６個のペースになり、３か月たった今はお守り代わりに持ってはいますが、なくても大丈夫という気持ちになっています。禁煙できて、ホント、さっぱりしましたよ。周囲からは「ヘビースモーカーがよくやめられた」と、見直されています。

他文献より