米食品医薬品局(FDA)は23日、メントールたばこのほうが通常のたばこに比べ、健康上の害が大きい可能性があると発表した。その販売をいずれ制限するような規制措置を検討していることを示唆したものたが、そのような措置の実施には数年かかると見られている。
FDAはメントールたばこが健康に及ぼしうる影響についての初期評価を行い、たばこに含まれているミント味のメントールが中毒性の悪化に関連している可能性が高いとの結論に達した。さらに、メントールたばこの喫煙者はニコチン依存症の兆候が強く見られ、禁煙の成功率も低いという。
2009年に成立した法案によって、FDAはメントールたばこを含めたたばこ製品の規制権限が与えられた。この法律ではメントールたばこ以外のフレーバー付きたばこの喫煙が禁止されたが、メントールたばこ問題についてはFDAのたばこ製品諮問委員会に対してその研究が命じられた。同委員会は2011年、たばこからメントールを取り除くことが公衆衛生に有益だとの意見をまとめたが、FDAによる特定の規制措置には至らなかった。
メントールたばこの規制問題については、アフリカ系米国人の喫煙者が好む製品であることもあり、大きな議論を巻き起こしている。政府の統計によると、米国の黒人喫煙者の約80%がメントールたばこを愛用しているという。またFDAの数字では、成人喫煙者の約30%、若年喫煙者の40%超がメントールたばこを利用していることが分かっている。
FDAは将来実施される可能性のある規制措置の前段階として、今回の公衆衛生評価を発表するとともに、メントールたばこ規制の可能性に関して一般から意見を求める告知を行った。可能性のある規制案は、たばこの中のメントール含有量の制限やマーケティングと広告の制限から、メントールたばこの喫煙の禁止までと幅がある。
ただどのような規制措置が実施されたとしても、それはおそらく数年後になるだろう。FDAは新規制が実施される前に実施を予定している3つの研究に向けて予算を確保したという。連邦政府の規定作りは長期化することも多く、メントールたばこに関連した規制変更も決定までに相当な時間がかかるはずだ。
メントールたばこに関する政府内討議の行方は、メントールたばこでは売り上げトップの「ニューポート」を製造するロリラードにとって死活問題となろう。同社の売上高は同製品に大きく依存しているからだ。アルトリア・グループやレイノルズ・アメリカンといったたばこメーカーもメントールたばこを販売しているが、売上高の依存率はロリラードほど高くない。
業界1、2位のアルトリアとレイノルズはメントールたばこについて、それ以外の製品と異なる規制を受けるべきでないとこれまで主張してきた。たばこ業界は2001年にFDAへ提出した業界報告の要旨で、科学的データに基づくと、病気や喫煙開始、禁煙、依存性といった点でメントールたばことそれ以外の製品には違いがないと指摘した。
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