Lesson404

認知症リスク、喫煙で2倍 九大チーム



久山町の追跡調査で判明

 たばこを吸う高齢者は吸わない人に比べ、認知症の発症リスクが2倍に高まる―。こうした疫学調査結果を、九州大大学院の研究チームが14日、福岡市で開かれた日本老年医学会の学術集会で発表した。福岡県久山町の住民を15年間、追跡調査して判明した。日本人を対象に、認知症と喫煙の関係を研究したのは初めてという。

 追跡調査したのは1988年に健康診断を受けた老年期の712人(当時の平均年齢72歳)。2003年までに202人が認知症になった。「喫煙なし」「過去に喫煙」「ずっと喫煙」の3群に分け、それぞれ認知症になった割合を調べたところ、ずっと吸っている人は吸っていない人に比べ、発症リスクが2倍になった。

 712人のうち578人は中年期(平均年齢57歳)の健診データもあり、「中年期も老年期も喫煙なし」「中年期は吸ったが、老年期までにやめた」「ずっと喫煙」の3群で比較すると、ずっと吸っている人は吸っていない人より、リスクが2・8倍に上昇した。一方、たばこをやめた人は1・5倍にとどまった。

 小原知之助教(精神病態医学)は「喫煙が脳神経細胞の老化や動脈硬化を促進させ、認知症を引き起こすと考えられる。禁煙が認知症に発症するリスクを下げる可能性がある」と説明した。


2014年6月16日(月) 西日本新聞