梅干しの体に与えるプラス効果が改めて見直されている。戦国時代、武士は「梅干丸(うめぼしがん)」を携帯していた。梅干しの果肉と米の粉、氷砂糖の粉末を練ったものだ。息切れをしたときの疲労回復剤や、生水を飲んだときの殺菌剤として利用されていたらしい。

そんな梅干し効果の科学的な解明が目下、進んでいる。成分のクエン酸は、エネルギー源を燃やしてエネルギーに替えるクエン酸サイクルの働きを活発にし、疲労の原因になる乳酸がたまるのを防ぐ。クエン酸とベンズアルデヒドといった成分が、細菌など微生物の繁殖を防止する。

梅干しを食べる際、大量に出るだ液。中に含まれるカタラーゼという酵素には、がんや老化の原因になる活性酸素の毒性を抑える働きもある。ただし、高血圧症の人には、塩分がマイナス効果をもたらすのでご注意を。

(2001.9.22 日本経済新聞)