空気清浄機はファンを使って室内の風を取り込み、フィルターで浄化するのが基本的な仕組み。かつて電気を帯びた粒子(イオン)でホコリを帯電させる「イオン式」が人気を集めたが、即効性に乏しいことから現在ではファン式が主流だ。
機能は大きく集じんと脱臭に分けられるが、違いが出るのは脱臭機能。特に個性的なのがシャープの「FU−M40CX」だ。
独自の「プラズマクラスター」技術を採用し、プラスとマイナスのイオンを同時の放出して、においの分子を分解するという。カビや細菌の場合は菌を取り囲んで化学反応を起こし、菌の活性化を止める。
シャープは「生活臭を増幅している空気中のカビ菌を除去すれば、におい対策に効果的」(空調システム事業部)と説明する。「空気を取り込むだけにとどまらない攻撃的な空気清浄機」(ヤマギワ東京本店)と、店頭での評価も高い。
フィルターを使って脱臭するタイプのポイントは、においの分解機能の有無。
ダイキン工業の「MC603」は光触媒技術を使って悪臭を分解する。光触媒とは酸化チタンに光を当てて悪臭成分を分解する仕組み。同社ではLED(発光ダイオード)を搭載、3層の光触媒フィルターでにおいを分解する。光触媒フィルターは交換不要。
これに対し、松下電工と三菱電機の製品は悪臭成分を電気的に分解する方式を採用している。
フィルターの洗浄で脱臭の持続力を上げたのが東芝キャリアとシャープ。東芝「CAF−05A」は光触媒技術を使い、洗ったフィルターを天日に干すと脱臭力が回復する。脱臭フィルターは2枚で、日本電気工業会の定めた試験方法では1分間に約80%のにおいを除去したという。
集じんに関しては各社横並びだ。ダイキン工業以外はウルパ(ULPA)フィルターを搭載。ウルパとは日本工業規格(JIS)で定められた基準で0.15マイメークロトルの粒子を99.9995%以上除去できるフィルターの総称。ウルパ搭載なら大きな差はない。
ウルパ搭載機種で差があるのは、集じんの持続力。ほとんどの機種は寿命とされる5年目には性能が半減する。しかし松下電器産業の「F−P06U4」はフィルターにガラス繊維を使い、厚みも約5センチメートルと厚くすることで、購入時の集じん力を5年間維持するとうたっている。
ウルパを使わないダイキンの「MC603」はフィルターに高電圧をかけてホコリを帯電させ、フィルターに付着させる。集じん性能自体はウルパより劣るが風量を毎分6立方メートルと他社に比べ30%高めることで「結果的に1分間でとれるホコリの量は多くなる」(技術部)。集じんはフィルターに頼るのではなく電気のため、持続力も高い。
脱臭、集じんの力で競ってきた空気清浄機だが、最近では森や滝などに多いマイナスイオンによるリフレッシュ効果をうたう機種が急増している。上位機種ではほぼ標準搭載となった。
マイナスイオン機能ではダイキンが1cc当たり約30万個発生するといい、10万個以下が主流の他メーカーに比べ多い。シャープは部屋の汚れ具合に応じてプラスイオンとマイナスイオンのバランスを調整する機能を搭載している。
空気清浄機
窓を閉め切ることが多い冬場は部屋の空気がこもりやすく、たばこやハウスダストが気になる季節。空気清浄機はそんなにおいやほこりを取り除いてくれる。最近では集じんや脱臭といった基本性能に加え、リフレッシュ効果があるとされるマイナスイオンを発生させる機種が相次ぎ登場している。1万円前後のスタイリッシュな卓上型も出てきた。用途や予算に応じて、自室の空気を快適に変える1台を上手に選びたい。
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