健康と食物「腸内細菌」
 

  腸は毎日の食べ物や飲み物などの栄養を吸収してくれる大切な場所で、吸収された栄養はその人の血液の質や体質を決定しますから、人の生命維持に関わる最も大切な臓器の一つです。また、腸は第二の脳とも呼ばれていて、腸内に入ってきた物質を良いか悪いか判断し、パターン化して記憶する仕組みもあります。脳内伝達物質のセロトニンの95%を作っているとの報告もあり、脳内ペプチドなどの様々なホルモンを生産しています。腸の粘膜は全身の皮膚のおよそ200倍で、血液中を流れるリンパ球といわれる免疫細胞が多く集まっています。人の体の全免疫システムの70%は腸に集中していますので、腸の状態の善し悪しが全身に影響します。

 腸は栄養分を吸収する小腸と水分を吸収する大腸に分かれています。食べた食物は最終的に便となって排出されますが、便は通常7割程が水分で残りは食物繊維や消化されなかった食物、腸内細菌の死骸などで構成されています。便秘などで排泄が溜まると食べ物に含まれる添加物などで腸内の腐敗が進み、これが大腸の粘膜に接し続けるとガンなど様々な病気の原因になります。

 腸内細菌は健康な成人の便1cあたり約1兆個あり、腸全体では600兆から1000兆個と推定されています。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が約20%で、大腸菌やウェルシュ菌、バクテロイデスなどの悪玉菌が約10%程度あり、その他の70%は食べ物や体調によって善玉、悪玉のどちらにも傾く日和見菌と呼ばれています。

 善玉菌は腸内を酸性にして、免疫力を高めたり、病気の感染予防、消化吸収の援助やビタミン合成、腸管運動を促進します。これらの菌は悪玉菌を排除して善玉菌の比率を高める働きがあり、圧倒的に数が多いビフィズス菌が腸内環境を左右しています。腸内環境を整え免疫力を上げるために乳酸菌やビフィズス菌を多く含む食品と食物繊維を多く含む野菜やキノコ、豆類や海藻などを積極的に摂取してはいががでしょうか。

2013年2月5日