ウイールス:新ウイールス感染で死亡相次ぐ
 

SFTSウイルス ダニ感染死、さらに2人 愛媛、宮崎の男性 渡航歴なし

 先月、国内で初めて死亡者が確認されたダニが媒介する新種の感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、厚生労働省は13日、愛媛県と宮崎県の成人男性2人も昨秋感染して死亡していたと発表した。共に少なくとも最近の海外渡航歴はなく国内で感染したとみられる。

 厚労省は、山口県の女性が死亡した初の事例を受けて各都道府県に情報提供を要請。発熱や下痢などの症状の後、白血球や血小板の数が低下して死亡した2人の血液を国立感染症研究所(東京都)で調べたところ、SFTSウイルスが見つかった。草むらややぶに生息するマダニ(体長2〜10ミリ)にかまれ感染したとみられる。

 宮崎県の発表では、同県の男性は山に出掛けることがあった。下痢や下血の症状が出て入院し、発症の10日後に死亡した。愛媛県によると、同県の男性は全身倦怠(けんたい)や発熱、下痢で入院し、発症の16日後に死亡した。

 山口の女性も海外渡航歴はなく、ウイルスの遺伝子も09年ごろに発生が報告された中国のものとはわずかに異なっていた。厚労省は日本に存在していたウイルスの可能性が高いとみている。

 厚労省によると、都道府県から同様の症状の事例報告が9件あり、検査した4件のうち2件からウイルスを検出。残り5件の検査を進めている。マダニの活動は春から秋にかけて活発になるため、同省は、生息するような場所へ行く時は肌が露出しない服を着用するなど注意するよう呼びかけている。【井崎憲、門田陽介】

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 ■ことば
 ◇重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
 感染から6日〜2週間の潜伏期間を経て、発熱や嘔吐(おうと)、下血などの症状が表れ、血液中の白血球や血小板の数が減少して全身状態が悪化する。有効な治療薬やワクチンはない。推定致死率は12%程度。中国ではダニにかまれて感染したケースが大半で、空気中に飛散、浮遊する病原体から感染する恐れはない。

2013年2月13日 提供:毎日新聞社

人から人への感染例か 新種ウイルスで英当局
 
【ロンドン共同】英BBC放送などは13日、新型肺炎(SARS)を引き起こすウイルスと同じ仲間であるコロナウイルスの新種について、人から人への感染が疑われる患者が英国で確認されたと報じた。英保健当局者の話として伝えた。

 患者は感染例が確認されている中東などへの渡航歴はなく、親族から感染した疑いがあるという。ただ免疫機能が弱っていたとされることから、保健当局者は「通常の環境での人から人への感染の危険性は非常に低い」との見解を示している。

 BBCによると、これまで中東を中心に11件の新種ウイルスの感染例が確認されている。コウモリのウイルスが変異してできたと考えられているが、詳しい感染の仕組みは解明されていない。

 世界保健機関(WHO)も新種ウイルスについて「人から人への感染の可能性は排除しない」との姿勢を取っており、警戒を強めている。

2013年2月14日 提供:共同通信社