SFTSウイルス ダニ媒介感染症ウイルス、自治体でも検査
 

 国内で3人の死亡が確認されたダニ媒介の新種の感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、厚生労働省は来月から、ウイルスの検出作業を各都道府県の機関に拡大する。感染が疑われる患者の血液は国立感染症研究所(東京都)1カ所で検査してきたが、厚労省は春から媒介するマダニの動きが活発になることなどを受け、確認作業が増えると判断。マダニ類のウイルス保有率の調査なども検討する。

 ダニ媒介の感染症は、ツツガムシ病や日本紅斑熱(こうはんねつ)、ライム病があるが、いずれも治療方法がある。SFTSは有効なワクチンがなく治療が対症療法に限られるため、厚労省は他の感染症以上に詳細な調査が必要と判断した。

 ウイルス検出のノウハウを都道府県と政令市の衛生研究所に提供し、3月中には各県で確定診断ができるよう体制を強化。更に来月からは、感染が疑われた段階での報告を医師に義務づける。

 SFTSウイルスは、国内でも本州以南に広く分布するマダニの一種フタトゲチマダニが媒介したとみられる。このダニは春にふ化して幼虫となり、草むらなどで動物の血を吸って成長する。【井崎憲】

2013年2月19日 提供:毎日新聞社