若年者にも起こる脳卒中 中高年とは異なる特徴 
首ひねる運動も引き金に

 

  日本人の死亡原因の第4位を占める脳卒中。患者のほとんどは中高年だが、今年初めに30代の女性アナウンサーの発症が明らかになるなど、比較的若い世代でも起こることが注目を集めている。専門家によると、若い人の脳卒中は、原因や背景が中高年とはかなり異なる。しかし、対処が早いほど治療結果が良いという点は年齢を問わない。症状に気付いたらできるだけ早く、脳卒中治療を手がける医療機関を訪ねることが大切だ。

 ▽出血性が多い

 脳卒中は、脳内の血流が障害されて脳の機能の一部が損なわれる病気。血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れて出血する「脳出血」「くも膜下出血」に大きく分けられる。患者数は約123万5千人(2011年厚生労働省患者調査)。うち1割程度が50歳以下の若年脳卒中と推定される。

 動脈硬化や不整脈が脳卒中の原因になることはよく知られている。だが「それが必ずしも当てはまらないのが若年脳卒中の特徴だ」と、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の峰松一夫(みねまつ・かずお)副院長は説明する。

 峰松さんらは同センターなど18施設の患者約7200人のデータを分析。51歳以上では脳梗塞が63%と多いのに対し、50歳以下では脳出血(32%)とくも膜下出血(26%)を合わせた出血性の脳卒中が梗塞を上回った。

 また、50歳以下の脳出血の背景には、脳の動脈と静脈が異常な形でつながる「脳動静脈奇形」をはじめ、生まれつきの脳血管異常が隠れているケースが多いことも分かった。

 原因が違っても、症状や治療法は若年も同じ。手足の片側だけのまひやしびれ、ろれつが回らないなど脳卒中を疑わせる症状が急に出たら、救急車が必要だ。

 ▽内壁のはがれ

 もう一つ、若年脳卒中の原因として専門家が近年注目するのが「脳動脈解離」。脳の動脈の内壁が何らかの原因で傷ついてはがれ、できた隙間に血液が入り込む現象だ。はがれた内壁が血管をふさぐと脳梗塞になるし、隙間に入った血液で血管がこぶ状に膨らみ、それが破れると、くも膜下出血につながる。

 東京都内の30代の男性は、不慣れなエアロビクスに挑戦して激しく体を動かした後、首の後ろにこれまで経験したことがないような痛みを感じた。「筋肉痛かな」と市販の痛み止めを飲んだが治まらず、2日目にはめまいも出てきて不安になり、病院に駆け込んだ。

 磁気共鳴画像装置(MRI)などによる検査の結果、首の骨に沿って脳に至る動脈の内壁がはがれ、平衡感覚をつかさどる小脳で梗塞が起きているのが見つかった。めまいはそのせいだったのだ。即刻入院、血液の状態を改善し血圧を下げるなどの治療を受け、目立った後遺症なく退院した。

 ▽見逃しの恐れ

 男性の診療に当たった長尾毅彦(ながお・たけひこ)・東京女子医大講師(神経内科)は「首の後ろのかなり限局した痛みと聞いて、脳動脈解離ではないかとピンときた。だがこの病気は、そう疑って検査しないと見逃してしまう恐れが大きい」と話す。

 日本ではなぜか、この部位の動脈解離が多い。ゴルフの練習で首をひねる動作を繰り返した後に発症した人もいるし、首のマッサージもあまり激しいものは危険がある。

 解離した部分の痛みが先行し、後から脳梗塞などによる症状が現れるケースも多い。放置すると血管内壁のはがれが進み、重症化する恐れが強いため、普段と違う痛みを首や頭に感じたら脳卒中治療に対応する神経内科、脳神経外科などを訪ねよう。日本脳卒中協会は全国の都道府県の脳卒中医療機関をホームページに掲載している。(共同=吉本明美)

2013年4月30日 提供:共同通信社