脳の血管が詰まったり破れたりして障害や死亡の原因になる脳卒中。高齢者の病気というイメージが強いが、国際共同チームがまとめた2010年時点の世界の脳卒中の状況によると、比較的若い世代でも発症が増えており、予防や早期治療のための早急な対策が、特に発展途上国で求められることが分かった。英医学誌ランセットに論文が掲載された。
信頼性が高い約120の研究を集めて推計した。それによると、10年には世界で約1690万人が新たに脳卒中になり、過去の発症者も含む患者数は約3300万人に上った。脳卒中に関連した死亡者は約590万人。
20年前の1990年時点の推計値と比べ、新規発症は68%増、患者数は84%増、死亡者は26%増となった。この増加傾向が続くと、2030年には患者は約7千万人、死亡者は約1200万人と、20年で倍増する恐れが強いとチームは警告している。
データを75歳以上の高齢者と74歳以下に分けて分析したところ、10年時点の新規発症者の62%、患者の70%、死亡者の45%が74歳以下だった。
このうち新規発症者について、さらに絞り込んで20〜64歳の数を推計すると、520万人(全体の31%)となり、過去20年で25%増加したことが分かった。途上国でこの年代の発症が増加したことが数字を押し上げたとみられる。20歳以下の新規発症者も10年は世界で8万3千人余りいたと推計された。
チームは「脳卒中はもはや高齢者の病気と考えるべきではない。若い世代も含めた対策が急務だ」としている。