【ワシントン=中島達雄】米食品医薬品局(FDA)は7日、マーガリンなどの加工食品に含まれるトランス脂肪酸の規制に乗り出す方針を明らかにした。心臓病の原因になると指摘されており、「安全ではない」と判断した。トランス脂肪酸を含む食品の販売はFDAの許可制となり、販売禁止になる食品も出てくる見通しだ。60日間、国民から意見を募集したうえ、正式に決める。
トランス脂肪酸は、液体の油を固体に変える際に生成する分子で、ケーキや揚げ物などにも含まれる。体内に入ると、血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあるため、摂取しすぎると動脈硬化が進行、心臓病になりやすくなる。 米疾病対策センター(CDC)は、トランス脂肪酸の規制により、年間2 万人の心筋梗塞を防ぎ、心臓病による死者を7000人減らすことができると推定している。
米国 トランス脂肪酸禁止 日本人の摂取量、国際基準下回る
トランス脂肪酸は主にマーガリンやショートニングなどに含まれ、それらを使った菓子パン、ケーキ、ドーナツ、シュークリームなどに多く含まれる。
内閣府の食品安全委員会によると、日本人の摂取量は1日当たり約0・4〜1・7グラムで、1日摂取エネルギーに占める平均的な割合は世界保健機関(WHO)の勧告基準の1%を下回る。ただし、菓子類を多く食べる30〜40歳代の女性や大学生の中に1%を上回る層がある。
消費者庁は、2015年春施行を目指して準備中の「食品表示法」で、加工食品でのトランス脂肪酸の含有量表示を義務付けるかを検討。栄養成分やアレルギー表示などに比べて優先順位が低いとして当面は見送る姿勢だ。【小島正美】