軟骨細胞を増殖させるタンパク質を広島大大学院の今泉和則(いまいずみ・かずのり)教授と斎藤敦(さいとう・あつし)助教らのチームが発見し、13日付の米科学誌モレキュラーセル電子版に発表した。
タンパク質は「BBF2H7」で、関節の軟骨がすり減る変形性関節症の治療薬開発につながることが期待される。
チームが、このタンパク質を作れないようにしたマウスを調べると、ほとんど軟骨ができていないことが判明。軟骨細胞内にあるタンパク質の一部が外に出て別の物質と結合すると、軟骨細胞に作用して増殖が起きることが分かった。
関節の軟骨は骨のクッションの役割を果たすが、加齢や肥満で減少すると骨が直接ぶつかり合うなどして痛む、変形性関節症となる。チームによると、国内の推計患者は700万人以上。
鎮痛薬投与や、手術で骨がぶつからないようにするのが一般的な対処法だが、今泉教授は「タンパク質の投与で軟骨細胞を増殖させれば、軟骨の再生能力を高められる可能性がある」と話している。