感染症:消化管寄生虫に対する生体防御の新たな仕組みを解明
  


寄生虫防御の新機序

東京医科歯科大が消化管寄生虫への生体防御の仕組み

東京医科歯科大学は、消化管寄生虫に対する生体防御の新たな仕組みを解明した。寄生虫に感染すると2度目からは皮膚内に閉じ込める機能が働くメカニズムを確かめた。同寄生虫には感染防御に有効なワクチンはいまだに開発されておらず、その実用化に道を開くことが期待されている。

 消化管寄生虫は、いちど感染すると以後は抵抗力が高まることが知られているが、その詳しい仕組みはこれまで分かっていなかった。東京医科歯大学大学院医歯総合研究科の烏山一教授らの研究グループは、消化管寄生虫の一種である鉤虫の幼虫が皮膚から体内に侵入、肺を経由して消化管に到達して成虫になるという特徴に着目、この仕組みを調べた。

 それによると、2度目の感染では、皮膚から侵入した幼虫を好塩基球という血液中の極小血球細胞が取り囲み皮膚内に閉じ込める作用があることが分かった。消化管における寄生虫排除の機構とは別に、新たな生体防御メカニズムがあることが発見できたことになる。

 世界では20億人が消化管寄生虫に感染しているといわれる。今回の発見を生かせば、ワクチンの開発をはじめ、新たな治療法の実用化につながる可能性がある。

2013年11月1日 提供:化学工業日報