卵細胞の染色体異常、高齢女性ほど生じやすい仕組み解明


卵細胞の染色体異常、高齢女性ほど生じやすい仕組み解明

 女性は高齢になるほど、卵細胞で染色体の形を保つたんぱく質が減ることを、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)の研究チームが明らかにした。妊娠が高齢になるとダウン症など染色体異常の子が産まれる確率が高まる要因の一つと考えられるという。8日、米オンライン科学誌プロスワンに発表する。

 研究チームは、染色体異常とは関係ない理由で卵巣摘出手術を受けた19〜49歳の患者8人に同意を得て、摘出された卵巣から卵細胞を採取。染色体の形を保つコヒーシンと呼ばれるたんぱく質の複合体の量を調べると、高齢になるほど少なくなることがわかった。

 これまでにマウスの実験で、コヒーシンが減ると染色体異常が生じやすくなることが確認されている。今回はヒトの女性で高齢になるほどコヒーシンが減ることが確認され、研究チームによると世界で初めて。「高齢になると、ダウン症や18トリソミーなどの染色体異常の子が産まれる確率が高まる要因と考えられる」と説明している。

 卵細胞の中で染色体異常が起こると、妊娠が成立しにくく、流産しやすく、子が生まれても心臓病などを伴うことが多くなることが知られている。堤真紀子助教は「コヒーシンの減少を防ぐ方法が開発されれば、高齢出産に伴う染色体異常のリスクを減らせるかもしれない」と話した。(鈴木彩子)

2014年5月8日 提供:毎日新聞