若者の「ひきこもり」が社会現象として注目されている。学校でのさまざまな挫折体験、たとえば失恋や成績不振、いじめなどが引き金となり、不登校、家庭内暴力、自殺未遂といった思春期の問題行動へと暴発するケースもある。

本人は対話を拒否し、家族も世間体を気にするから、いったんひきこもり状態に陥ると、悩みや葛藤(かっとう)がますます増幅され、その期間は数年以上の長期に及ぶケースも見られる。

最大の問題は、予防や治療が十分可能であるにもかかわらず、対応が立ち後れていることだ。「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上自宅にひきこもって社会参加しない状態が継続しているもの」を一般 的に指すが、逆に言えば、6ヶ月以内に何らかの治療的対応に動き出せば解消できるということでもある。

(2000.7.29日本経済新聞)