「同僚と同じペースで階段を上れない」「休んでいるときは平気なのに動き出すとつらい」――。このような人は、肺の生活習慣病とも呼ばれる慢性閉そく性肺疾患(COPD)を疑った方がよいかもしれない。

COPDは、気管支が炎症を起こして狭くなったり、空気が入る肺の小さな袋(肺胞)が壊れたりして、呼吸しにくくなる病気。ぜんそくの発作時にも似たような症状が出るが、COPDの場合、息苦しい状態がずっと続くのが特徴という。

厚生労働省の分析では国内の患者は22万人、年間の死亡者は1万3千人に達する。最近の研究では患者数は530万人との推計もある。

日本医科大学呼吸ケアクリニックの木田厚瑞所長は「呼吸機能は一度低下すると、元に戻すのは難しい。早く見つけて治療することが大切」と話す。気管支や肺にダメージを与えるタバコは最大の危険因子なので喫煙習慣のある人は特に注意が必要だ(表を参照)。

軽い息苦しさなどは年のせいなどと見過ごしてしまうことも多い。だが、原因が思い当たらないときは医師の診察を受けることが欠かせない。

こんな症状には注意が必要

・風邪をひいていないのにせきが出る
・風邪ではないのにたんが出る
・同年代の人に比べて息切れしやすい
・年齢が40歳以上
・喫煙習慣や喫煙歴がある
(注)3つ以上当てはまるとCOPDの可能性あり。医師に相談を
2004.11.7 日本経済新聞