小児の咽頭炎に有効なクスリ

アモキシシリンの1日1回経口投与が小児の連鎖球菌性咽頭炎に有効

急性リウマチのリスクが高い集団の小児においてA群β型溶血連鎖球菌性咽頭炎に対するアモキシシリンの1日1回経口投与の有効性はペニシリンVの1日2回投与と同等であった
Laurie Barclay

急性リウマチ熱のリスクが高い集団の小児におけるA群β型溶血連鎖球菌(GABHS)性咽頭炎の治療において、アモキシシリンの1日1回経口投与の有効性はペニシリンVの1日2回投与と同等であるという試験結果が3月12日付けの『Archives of
Disease in Childhood』Online First issueに報告された。

「リウマチ熱はA群β型溶血連鎖球菌(GABHS)性咽頭炎に続発する予防可能な慢性疾患である」とオークランド大学(ニュジーランド、オークランド)のDiana R. Lennon, FRACPらは記述している。
「リウマチ性心疾患は、世界的に小児における心疾患の最も一般的な原因である」

この無作為化対照比較試験の目的は、GABHS咽頭炎において推奨療法であるペニシリンV 1日2回経口投与に対するアモキシシリン1日1回経口投与の非劣性を検証
することであった。

ニュージーランドのある学校内のクリニックにおいて、GABHS咽頭炎(咽喉スワブ検査陽性に基づく)のため来院した小児353例が、10日間にわたるアモキシシリン1500 mgの1日1回経口投与(体重が30kg以
下の場合は750 mg)またはペニシリンV 500 mgの1日2回経口投与(体重が20kg以下の場合は250 mg)のいずれかに無作為化された。

主たるエンドポイントは、3-6日目、12-16日目、26-36日目の追加咽喉検体培養に基づくGABHSの消失であった。GABHS分離株のセロタイピングを用いて細菌学的無効および新規感染による再発が区別された。非劣性の定義は、アモキシシリンおよびペニシリンV療法群の消失率の差の95%信頼区間の上限が10%未満とされた。

陽性培養におけるアモキシシリン療法群とペニシリンV療法群の差の95%信頼区間の上限は、3-6日目に4.9%、12-16日目に6.5%、26-36日目に8.5%であった。上記の各来院時の治療無効率(再発を含む)は、アモキシシリン群においてそれぞれ5.8%、12.7%、10.7%、ペニシリンV群においてそれぞれ6.2%、11.9%、11.3%であった。両群とも症状消失率は同様であった。7日間のアモキシシリン療法後に証拠がない急性リウマチ熱が1例報告された。

本試験の制限としては、アモキシシリンの用量または治療期間の微調整を検討できなかったことがあげられる。本試験は、独特な人口統計学的特性をもつ1つの学校で実施されたため、これらの知見を一般化することは制限される。

「この適切なパワーを有する試験では、咽頭炎の小児におけるGABHSの治療と消失に関して、アモキシシリンの1日1回経口投与はペニシリンVの1日2回投与に比べて劣っていない」と本試験の著者らは結論する。「アモキシシリンは、1日1回投与が可能、費用、利用可能性および妥当な範囲の抗菌スペクトルをもつという点で、GABHS咽頭炎において好ましい治療選択肢である」

本試験はNew Zealand Heart Foundationの資金提供を受けた。本研究の著者らの情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。

2008.3.24 記事提供 Medscape