喘息はジェット気流に乗ってくる大陸の大気で悪化

ぜんそく、黄砂で悪化 環境汚染物質含み 鳥取大、きょう発表

中国大陸から飛来する黄砂により、日本のぜんそく患者の症状が悪化している可能性のあることが、鳥取大の調査で分かった。中国から黄砂に乗って飛来する環境汚染物質による日本での健康被害が懸念される中、具体的な調査事例として注目される。日本呼吸器学会で17日に発表する。【斎藤広子】

調査は、同大付属病院(鳥取県米子市)を受診した20歳以上のぜんそく患者117人を対象に行った。07年3-5月に黄砂で同市内の視界が10キロ以下になった計9日間について、翌日以降に電話で聞き取り調査した。その結果、3月と4月では27人(約23%)で、せきや痰(たん)が多くなるなどぜんそく症状の悪化がみられた。スギ花粉の影響を除外するため行った5月の調査でも、16人がぜんそく症状の悪化を訴えたという。

研究チームが空気中のちりを分析したところ、黄砂が飛んだ日は飛ばない日よりアレルギーなどを引き起こすニッケルや、カドミウムの含有量が多かった。研究グループの渡部仁成助教は「黄砂そのものより、付着した有害物質が症状に悪影響を与えている可能性がある」と話す。



2008.6.17 記事提供 毎日新聞社