血栓症、循環器障害の危険因子:肥満、高血圧、喫煙

座長
代田 浩之 先生
順天堂大学循環器内科学教授

わが国の年齢調整冠動脈疾患罹患率・死亡率は、欧米と異なる東アジア地域の特徴を有して、脳卒中が多く冠動脈疾患が少ない状況を維持してきた。しかし、冠動脈心疾患発症・死亡の危険因子は、わが国においても、欧米のそれらと異なるものではないことが疫学調査により明らかにされている。また、世界一の長寿国の現状を反映して、わが国の冠動脈疾患患者数そのものは、高齢者数の増加とともに増加している。

一方、冠動脈疾患の危険因子の中では、高血圧の頻度と喫煙率は低下しつつあるが、肥満者は男性では増加している。血清総コレステロール値の上昇は、脂肪摂取量の頭打ちと高コレステロール血症治療の普及ともあいまって一段落している。そのような中、本年4月より循環器疾患予防のために、肥満に伴うメタボリックシンドローム対策が特定健診・特定保健指導の中で重点的に取り上げられることとなった。


2009.3.17