くも膜下出血、ひとごとじゃない?

巨人・木村コーチ急死で急増 MRI検査

 プロ野球・巨人の木村拓也コーチ(37)がくも膜下出血で突然倒れ、その後急死したニュースを機に、医療機関でMRI(磁気共鳴画像化装置)の検査を希望する人が急増している。この疾病と、MRIで発見できる動脈瘤(りゅう)との関係が盛んに報道された影響のようだ。専門医は「働き盛りのスポーツマンが突然亡くなったという衝撃が世間に広がっているのでは」と分析する。

  くも膜下出血は、脳内にできた動脈瘤が破裂して起き、突然の激しい頭痛と強い吐き気を伴うケースが多い。動脈瘤はMRIで発見でき、治療法としては頭蓋骨(ずがいこつ)の一部を取り除いて動脈瘤と血管の境目をクリップで止めたり、プラチナ製のコイルを詰めたりする治療法がある。

  「たかせクリニック」(大阪市港区)では、木村コーチが倒れたという報道の後、MRIの受診希望者が約1・5倍に増えた。脳神経外科医の高瀬卓志院長(49)によると、「頭痛が続いて不安」という声が多く、「木村コーチのことがあったので、心配になった」と話す人もいるという。待ち時間が長くなるが、高瀬院長は「検査は『転ばぬ先のつえ』。不安な頭痛を感じたらすぐに受診して」と語る。

  人間ドック専門の「ホテルオークラ神戸クリニック」(神戸市中央区)でも脳ドックの問い合わせが増えた。人間ドック予約時に「脳ドックも」と相談するケースが目立つ。花崎貴洋事務長(37)は「長嶋茂雄さんが倒れた際も脳神経外科の受診者は増えた」と話し、伸びは昨年比約2倍と推定している。

  一方、加納総合病院(大阪市北区)の安田守孝副院長(53)=脳神経外科=によると、動脈瘤が破裂する確率は1%程度。「動脈瘤は手術で取り除くしかないが、手術で後遺症が残る可能性もゼロではない。手術に踏み切るかどうかは慎重に判断して」と話している。
【曽根田和久】

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2010.4.28 記事提供:毎日新聞社