100%輸入の甘草を人工栽培に成功した。

甘草の水耕栽培に成功 遺伝資源の国内確保に道

 ゼネコン大手の鹿島は28日、漢方薬などに広く使われる薬用植物「甘草(かんぞう)」の水耕栽培システムの開発に成功したと発表した。国内使用量の100%を輸入に頼っているが、医薬品開発に有用な遺伝資源の国内確保に向けた一歩になりそうだ。

 医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター(茨城県つくば市)が苗の提供や栽培法開発を担い、千葉大が有効成分を蓄積できる条件の研究などを行った。鹿島は「産業化の可能な薬用植物の水耕栽培システムの開発は国内外でも初めてではないか」としている。

 甘草は根に主な有効成分が含まれるが、肥料の入った水で栽培すると根が太くなりにくいのが課題だった。新システムでは、栽培中に適度なストレスを加えることで根の肥育を促すことに成功。害虫や病気などの心配がない植物工場で、日照、気温などを最適にすることで、畑では4年ほどかかる収穫までの期間を1〜1・5年に短縮できた。

 日本の甘草の輸入量は2008年度で約1700トン。約3分の2を占める中国は近年、資源保護の観点から採取を制限し、安定供給への懸念が高まっている。鹿島は1〜2年後の実用化を目指している。

2010.10.29 記事提供:共同通信社