自生キノコから抗がん物質発見

自生キノコから抗がん物質発見
青森県立保健大が特許出願
県と共同研究

 ◇薬などへの応用も期待

 県立保健大(青森市)は、県内に自生するキノコから抗がん作用のある生理活性物質を発見し、特許出願したと発表した。今後、動物実験などで作用が確認されれば、薬などへの応用も期待できそうだ。【矢澤秀範】

 栄養学科の乗鞍敏夫助教(生活科学)のグループが県産業技術センターとの共同研究を進め、中国で食用とされるキノコ・ボタンイボタケから発見した。

 アルコール抽出物に含まれる「テレファンチンO(オー)」は正常な肝細胞などには影響ないが、肝がん細胞や大腸がん細胞と交ぜると、増殖を抑えたという。

 また、抗がん作用が確認されている「バイアリニンA」がボタンイボタケに含まれていることも確認、抽出に成功した。抗アレルギー作用に加え、細胞死を起こすたんぱく質(カスパーゼ)を阻害する作用がある。

 食品成分から発見されたことは珍しく、肝疾患や虚血性疾患、パーキンソン病などの疾病対策効果への応用が期待されるという。

 ボタンイボタケは直径5〜10センチ。八重咲きの花のような形をしている。松林などに多く分布するという。乗鞍助教は「地域資源を地域の知的財産とし、地域企業で商品化していきたい」と話している。今回の発見は3月末の日本農芸化学会11年度大会(京都市)で発表する。

2011.1.12 記事提供:毎日新聞社