カテキン飲料
渋み抑制・濃い味
選択肢に広がり

選ぶポイント
1.継続して飲み続けられるよう好みの味を見つける
2.特定保健用食品の指定も参考にする
3.カフェインを含む場合も多く、飲みすぎに注意


健康志向の高まりから、カテキン類やカテキン由来成分の入った飲料の売り上げが伸びている。カテキンは渋み、苦み成分の代表格で生活習慣病に対する予防効果があるとして注目されている。茶飲料などでは、渋みや苦みが強い濃い味のものも増えてきた。比較的高い年齢層でもペットボトルでお茶を飲む人が増えるなど、茶飲料のすそ野拡大に貢献。カテキンを強調したスポーツ飲料も登場し、消費者の選択肢は広がりつつある。

カテキン飲料は従来の緑茶飲料や清涼飲料に比べ、カテキン類の含有量を強調しているのが特徴。カテキンは茶ポリフェノールともいう。重合ポリフェノールや松ポリフェノール(フラバンジェノール)は、複数のカテキンが結合したものが主成分となっており広い意味ではカテキン由来成分といえる。
カテキンは脂質の過酸化を防ぐ性質があることから殺菌やがん、動脈硬化、高血圧の予防に効果があるとされる。

「通勤途中に毎朝1本習慣的に買っていくお客さんも多い」(コクミンドラッグ心斎橋北店)という。
厚生労働省から特定保健用食品(特保)としての表示認可を受け、脂肪の燃焼を助ける、脂肪の吸収を抑えるといった効果を強調する製品も増えてきた。ブームの火付け役でピーク時には年間300億円を売り上げたのが花王の「ヘルシア緑茶」。成人の1日の摂取量の目安である540ミリグラム(急須で入れた同量の緑茶の約2倍に相当)の茶カテキンを配合している。渋みも通常の緑茶の倍になってしまわないように、カテキンと味が調和する茶葉を選んだ。脂肪を燃焼しやすくするという。

ヘルシア緑茶の姉妹品として開発された「ヘルシアウォーター」は、スポーツ飲料では初めて体脂肪に関する特保の表示許可を取得。スポーツ以外の場面でも習慣的に飲む飲料として新たな消費者層を開拓した。1日1本、1週間続けて飲むと脂肪燃焼量が1.3倍になるという。渋みをヘルシアの緑茶の半分以下にした。

特保としては、ウーロン茶重合ポリフェノールを含むサントリーの「黒烏龍茶」もある。カテキンを変質させた物質を使うことで新たな効能を開発。食事と一緒に飲むと中性脂肪の上昇を20%抑制できるのが売りだ。カテキンと同時に抽出されやすいカフェインの量を抑え、渋みや苦みを減らし飲みやすくしたのも特徴。料理に合いやすいという。

カテキンを増量させた濃いお茶の商品も増加中。伊藤園が2004年に発売した「おーいお茶 濃い味」は定番品だ。国産茶葉100%、無香料、無調味で素材の味を生かした。さらに独自製法で渋みと香りの良さを併せ持つ、濃くてもおいしいお茶市場を切り開いた。

サントリーも7月に「伊右衛門 濃いめ」を発売。カテキン含有量を従来品の65%増にした。厳選した希少品種の茶葉と微粉砕の煎茶(せんちゃ)茶葉を使い、濃さとすっきりした後味が共存している。
カテキンだけの脂肪燃焼効果では不満、という人にはアミノ酸を豊富に含んだ商品もある。サントリーの「健康系カテキン式」は、カテキンの渋みをアミノ酸を適度に配合することでやわらげた。脂肪燃焼を助けるという姉妹品の「燃焼系アミノ酸」と同系統のアミノ酸を使っている。煎茶を中心に茎茶や抹茶の原料を混ぜた。

カテキン飲料の人気を反映し、限定販売の商品もある。ネットでのまとめ買い専用のアサヒ飲料の「べにふうき緑茶」だ。72万本分に当たる3万箱に数量を限定して販売しており、2006年分は既に完売。07年も販売する予定だ。渋めの茶葉である「べにふうき」に多く含まれるカテキン類には抗アレルギー作用があるという。

カテキン飲料は、希望小売価格に近い価格で売られていることが多い。その効果は毎日継続して飲み続けないと効果を実感しにくく、選ぶ際には自分に合った飽きない渋みや香りを見つけるのが重要だ。また、カフェインを含むものもあるため、妊婦などカフェイン制限をしている人は、とりすぎないように気をつける必要がある。

目利きのひと言
妊婦・服薬中の人は注意

静岡県環境衛生科学研究所・生活科学スタッフの金子由美氏
常温でもカテキン含有量はほとんど変わらず、特に冷蔵庫で保管しなくてもよい。カテキン増量表示のある飲料にはカフェインも多く含まれる傾向がある。カフェインが血漿(けっしょう)中に残りやすい妊婦、服薬中の人は飲み過ぎに注意が必要だ。カフェインは体重1キログラム当たり15ミリグラム以上が過剰摂取の目安。

商品開発の可能性広い

農業・食品産業技術総合研究機構上席研究員 山口優一氏
1日に摂取するカテキンの適量や、体内吸収後にどんな形態になるかはよく分かっていない。発酵などでカテキンが結合すれば、カテキンが持たない様々な効能も持ちうる。今後の商品開発の可能性は広い。濃い味の場合、加熱殺菌過程が長く風味が落ちる傾向があったが、技術開発が進み、濃いからといってまずいということはなくなった


 2006.9.30 日本経済新聞