夏季は野菜が不足しがちだが、かぼちゃは旬。これはカロテン豊富な典型的緑黄野菜の1つである。

かぼちゃの種類は大きく2つに分けられる。1つは西洋かぼちゃ。これは栗かぼちゃとかえびすかぼちゃと呼ばれ、甘みが強くほくほくしている。もう1つは、日本かぼちゃ、これは皮がでこぼこしていて水気が多く粘りがある。同じかぼちゃでも大分口当たりが違うようだ。また栄養面からみても両者には大きな異なりがある。

西洋かぼちゃは日本かぼちゃに比べて、栄養素の含有量が多い。たんぱく質、脂肪の量はさほど変わらないが、炭水化物は後者に比べ2倍。がん、動脈硬化、老化などを促す活性酸素を消去する働きのあるカロテンは、約5.5倍。ビタミンEが約2.5倍。ビタミンCは約3倍も多く含まれる。これらのビタミンの含有量は、他の緑黄色野菜に比べても多い。

ところで夏、問題になるのは紫外線が強くなること。これに当たり過ぎると、肌を傷つけ老化を促し、しみやしわができやすくなり、時には皮膚がんの原因にもなる。この紫外線は活性酸素の1つ。といっても活性酸素にはいろいろな種類がある。大きく分けるとスーパーオキサイドラジカル、ハイドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4つで、紫外線はこのうち一重項酸素を大量に発生させる。

これは大変強力な活性酸素で、消去するには、特にカロテンの働きが必要である。かぼちゃは、カロテンとともにビタミンE、Cも多く含むので、素晴らしい活性酸素消去食品といえよう。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2006.7.29 日本経済新聞