甘草成分に受精高める効果 長崎国際大



甘草成分に受精高める効果 長崎国際大、マウス実験

 漢方薬などに使われる甘草(かんぞう)に含まれる成分に、能力が低い精子でも受精の確率を高められる効果があることを、長崎国際大薬学部(長崎県佐世保市)の田中宏光(たなか・ひろみつ)准教授らの研究グループが、マウスを使った体外受精実験で確認した。

 人にも効果があれば、男性がドリンク剤で飲んだり女性が座薬で摂取したりすることで受精率が向上するとみられる。

 田中准教授によると、マウスによる体外受精実験では、受精の能力が低い雄5匹の精子と健康な雌5匹の卵子を使用。それぞれの精子と卵子を、通常の体外受精時に使う培養液と甘草の成分を混ぜた培養液とで受精させ、受精率を比較した。

 通常の培養液で0%だった検体と同じ組み合わせのペアが、甘草の成分入りでは15・6%に、通常で43・5%のペアが甘草成分入りで84%になるなど、全ての検体で効果が確認された。

 研究グループは今後、家畜への効果を確認し、今年中にも人への応用研究に移行する方針。

 妊娠を望む夫婦のうち2年以上子どもができない夫婦は約10〜15%で、うち4割は男性側に原因があるとされ、田中准教授は「人用の薬が開発されれば、体外受精を選択する前の簡便な不妊治療薬として期待できる」と話している。

 甘草はマメ科の多年草で、漢方薬のほか、健康食品や化粧品などに広く使われている。


2012年1月11日 提供:共同通信社