ミカン皮が脳神経守る 
松山大、脳梗塞治療に期待



  ミカンなどかんきつ類の皮に含まれる有機化合物に、脳の神経細胞を守るタンパク質を増やす働きがあることを松山大薬学部のチームが8日までにマウスで突き止めた。

 脳梗塞で起きる脳神経の機能障害を遅らせる治療薬の開発につながる可能性があり、チームの古川美子(ふるかわ・よしこ)教授(神経化学)は「愛媛県特産のミカンに見つかった新しい力を役立てたい」と話している。成果は9月中にも国際学術誌ニューロサイエンス・レターズに掲載される予定という。

 この有機化合物はヘプタメトキシフラボン。チームはこれを液状にしてマウスに5日間投与した。その後、脳の血管を詰まらせて、脳の断面を分析。すると、記憶をつかさどる海馬で、神経細胞が傷つくのを防ぐタンパク質「脳由来神経栄養因子」が、投与しなかったマウスよりも約3・5倍増えていた。

 チームはこのタンパク質が増えることで脳梗塞後に死滅する細胞が減り、機能が維持されるとみている。ただ、ヘプタメトキシフラボンはミカンの皮の成分の多くて約0・025%と微量で、皮を食べても効用はないという。安全性を確認し、人で有効か検証する方針。

 古川教授らは脂になじむ物質は脳に到達しやすい性質があることから、油分の多いミカンの皮に注目した。「間引きしたミカンや廃棄品を活用したい」としている。

                                       
2012年9月10日 提供:共同通信社