菜の花 【ビタミンA/B群/C/E/K】
独特の苦みをもつ早春の野菜
早春の風景を美しい黄色で彩る菜の花。菜の花はアブラナ科の野菜で、和種菜種はもともと灯明用の油を採るために栽培されていたとされる。明治に入り海外から多くの油が搾れる西洋種が輸入され、生産量が増えたため、和種・西洋種ともに「野菜」として市場に出回るようになった。
栄養価を見ると、ビタミンCは130mg(100gあたり。以下同)、カルシウム160mg、葉酸340μg、カロテン、ビタミンB群も豊富に含まれている。また、不足しがちなビタミンやミネラルがバランス良く、しかも豊富に含まれているので、旬のこの季節におすすめしたい野菜の1つである。
左に紹介するのは、菜の花とアサリのパスタ。アサリからにじみ出た海の旨みと、菜の花独特のほのかな苦みが口に広がる。このほか、辛子やゴマなどと和えたり、塩漬けや汁物に浮かべても黄と緑の華やかな彩を添えてくれる。
ゆでる際は、硬い軸から湯に入れ、歯応えを少し残す程度にさっとゆでること。ゆですぎは歯触りが悪いだけでなく、せっかくの栄養成分もお湯に溶け出してしまう。

タイ 【ビタミンA/D/E/B群/C】
祝事に欠かせない春の白身魚
タイはタイ科の総称で、キダイ、チダイ、クロダイなど種類も多いが、一般的にタイと言えばマダイを指す場合が多い。「魚の王様」とも呼ばれるマダイは、味や姿だけでなく、ほんのりと赤みを帯びた色、「めでたい」という語呂合わせもあって、祝儀の席に欠かすことのできない魚として古くから重用されてきた。
栄養成分を見ると、高タンパク、低脂肪の代表的な白身魚で、ビタミンB1、B2、Eが豊富に含まれている。皮に多く含まれているビタミンB2は目や皮膚、口の中の粘膜を健康に保つ働きがあり、ビタミンEは血行促進、老化を防ぐ抗酸化作用がある。
また、動脈硬化などの成人病予防に最適なカリウムは440mg(100g中)と豊富。そのほか、疲労回復や食欲増進に効果的なアミノ酸やタウリンも含んでいる。
今回は手軽に作れるように切り身を用い、同じく旬を迎えるタケノコを合わせて炊き込みご飯にしてみた。

タイの上品な風味が食欲をそそり、ふっくらとした白身とシャキッとタケノコの食感のコントラストも面白い。おもてなしだけでなく、入学式などの晴れの日にもおすすめしたい一品だ。
抜粋