お口健康をコントロールするには、WF式プラークコントロールが欠かせません。
その要であるお口のどの場所をケアするのか?その場所は歯の間に繁殖する、隠れプラークです。
ここでは、歯の間の隣接面を的確にケアできる道具の選び方と、
世界中で販売されている各メーカのフロス用品と主に日本で販売されている歯間ブラシの比較チェックをしていきます。
なぜフロスケア!?その理由は...
歯周病の原因になる汚れは、
「見えないところ」に溜まっています。
「見えないプラーク」どうやって落としますか?
1.隠れプラークが繁殖する隣接面
(歯間部)ケアとは?
図1のように、歯の間はかみ合わせの面から歯の根元まで縦に10mm以下のスペースです。
奥歯にあっては5mm以下の部分も多くあります。しかし、その幅は前歯も奥歯も8mm前後あります。
かみ合わせ面からの歯と歯がしっかりとくっ付いて接触している部分は、通常、隣合わせの歯の咬合面の高さが同じに揃っています。その辺縁は肩が盛り上がった形状で、かみ合わせ面でつぶされた食片が押し出されてきても、根元の方向に食片が圧入されて、歯の間に食片カスが入り込みにくくなっているのです。
図1 |
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食物繊維の多い、いわいる自然食品、スローフードなど、よく噛む必要のある食品のほとんどは、歯の表面をこすって、繊維成分が歯をお掃除してくれます。噛むクリーニングと言えます。
しかし、とろみ付けや加工された刻み食品、製粉食品(パン、麺、お菓子)などの糖質主体食品の多くは、唾液の消化作用も受けてさらに粘着性を増し、歯の面にまとわり付きます。
歯の隣接面、辺縁ショルダーを越えて、歯の接触点側に押し込まれていくのです。
これが、歯の間に繁殖する隠れプラークの餌になります。
味付けの優れた、加工されたおいしいものを食べれば食べるほど、歯の間はそれまで以上にばい菌が繁殖しやすく、汚れてくるわけです。
2.歯の隣接面の形状の特徴、サイズ
それでは、歯の間の構造を見てみましょう。ほとんど高さはなく、8mmから5mm以下で歯肉のポケットになります。
ここはまったく見えない部分です。しかも歯ブラシの毛先が届きません。
歯の間の根元は、接触点から歯肉ポケットに向かってオーバーハングしていますから、自然食品なら面に付着することなく、歯肉の辺縁を通過して頬粘膜側や舌上に押し出され、歯周ポケットにぶつかることもありません。
加工食品の多くはその流動性ゆえに、歯の接触点を越えて、オーバーハングした歯の根元の隣接面の隙間、歯間部に流れて溜まっていきます。
歯の根元、かつ隣接面内にある歯周ポケットの長さは、歯ブラシなどの毛先が届くことはなく、歯の根元の周囲の距離の割合で見ると、歯ブラシの毛先がケアしやすい歯周ポケットの2倍近い距離が隣接面に隠れているのです。これを隣接面歯周ポケットと呼びます。
ここに多くの歯周病菌が繁殖する原因があります。
歯周病の発生する最初のポイントが隣接面歯周ポケット内に侵入する隠れプラークのバクテリアたち、嫌気性(酸素を嫌って、空気に触れにくい部分で繁殖する)細菌の増加です。
隣接面ケアで歯周ポケットの60%以上がお手入れできてしまうということに驚きます。
歯ブラシではないのです。
だって、よく噛んで食べていれば、歯ブラシケアできる範囲はほとんど、きれいに噛むクリーニングがされてしまうのです。
食後すぐのお手入れと、特に隣接面ケアが重要なのです。
ここは歯ブラシだけじゃ、取りきれないんです!
3.隣接面歯周ポケットの形状
歯の根面は、前歯では発生が一本ですから、隣接面歯周ポケットの形状はきれいな弧を描く凸面です。
でも、歯の隣接面の接触点直下で頂上となる。山形になっています。
隣接面ケアのポイントは、歯肉の断面形状から、山形になっている、山の傾斜斜面の歯周ポケットのケアです。
歯の外側と内側の2面の山形傾斜した歯周ポケットのクリーニングを的確に行うことが、WF式隣接面ケアの特徴です。
さらに、奥歯の臼歯は発生が、数本の歯が融合して一本になります。小臼歯は外側、と内側の二本が融合しているのです。
大臼歯は外、二本、内側一本が上顎です。下顎は二本づつ、4本の融合です。
ですから、臼歯は根面が外と内側の二箇所で凸面があり、ちょうど、歯の接触点真下で、凹の面ができやすい。
歯の冠部、エナメル質に覆われた部分は、すべて凸面になるような形状ですから、健康な歯肉を思春期から維持していれば、
ほとんど、この二箇所の凸面と間の凹面、つまり、隣接根面のクビレは歯周ポケットの下、
環状じん帯に保護されていて露出してくることはないのです。
しかし、発育期、思春期に歯肉炎があると、すでに、6歳臼歯から、根面露出が起こります。
環状じん帯(サークルコラーゲン)の破壊で、歯槽骨の堅い皮骨が溶け始めるのです。
そうすると、フロスケアではなかなか根面のクビレの凹面のプラークコントロールができなくなります。
根面はエナメル質で覆われて保護されていません。すぐに脱灰が進み、知覚過敏で冷たい水でしみたり、根面虫歯となります。
知覚過敏の対症療法で、シュミテクトだけでケアしていては危ないです。
ですから、かなり早い時期から、フロスケアによる隣接面プラークコントロールを
毎食後(3AM)に行うことを始めて欲しいのです。
20代になってからのフロスケア開始では、奥歯にリスクが発生します。中年では、フロスだけでなく隣接面の下部の隙間には歯間ブラシが必要になってくるのです。
4.隣接面上部の接触点
隣接面の咬合面側の上部には接触点があり、歯と歯はゆるやかな圧力で、お互いに接触していて、噛むときには、その咬合圧でさらに奥歯が前歯に強く接触して押しつけられるようになっています。
歯は根が直接に支持骨である歯槽骨に結合しているのではなく、50ミクロンの厚さのコラーゲンのクッションネットを介して植立されているので、歯は、わずかに50ミクロン以下の範囲で動くわけです。
その範囲で動いて押し付けられていれば、接触点を越えて歯の根元方向には食片が圧入されないはずなのです。
しかし、前述したような咬合面の辺縁ショルダー高さの乱れ(歯列不整)や、歯の根元の歯周ポケット内のプラークコントロール不足で、歯周病菌の繁殖が続き、歯の根元の周囲を上皮付着という、リングコラーゲン構造で歯の根元をしっかり締め上げている環状じん帯が歯肉炎で破壊されてズタズタに切れていたり、
ストレスで、噛み締めや、歯軋りなど歯根のサポート役の歯槽骨の負担を超える負荷が毎日掛かっていると、
サポート役の歯槽骨の表面の硬質な皮骨構造までも、溶けて吸収されて、歯の動揺が起きて、奥歯は余計に前に強く押し付けられます。
それが数年続くと、接触点はやがて脱灰と再石灰化で歯石ですり減り、面が荒れて、さらには、前述の糖質系の粘着食品の圧入があるので、隣接面の上部の接触点周囲には隠れプラークの酸産生菌群が繁殖して接触点虫歯が発生します。
また、虫歯が発生しにくい場合でも、かなり接触点が摩滅して行くので、歯が前方に傾斜することで、更に歯槽骨歯間部皮骨が吸収し、咬合高径が下がり始め、その結果、顔にしわが増えやすく、顔のたるみを増します。
その上、頭蓋骨の支持点として、奥歯の位置がずれてきますので、首の頚椎ばかりに負担が掛かり、頚椎軟骨がつぶれて押し出される頚椎ヘルニアや、頚椎の神経孔に石灰化進んで、神経圧迫が発生し腕の痺れや、内臓器官の異常を誘発したりします。
これら、中年から老齢に発生する脊髄疾患の多くの原因は姿勢から、その姿勢を作っているのが噛み合わせの位置と呼吸なのです。
歯の咬合バランスを保つには隣接面の特に接触点の破壊を防ぐことが大切なのです。
そのためには、幼児期の早い時期から、接触点を含む、隣接面を毎食後(3AM)に正しくプラークコントロールしましょう。
歯の隣接面はその高さと幅が数mmという範囲のお手入れの難しさと、まったく見えない部分であるため。軽視されています。
しかし、一歩海外、世界に出ると、その隣接面のケアは驚くほど当たり前に行われています。
飛行機のファーストクラスのシルバー食器に一緒に糸ようじが付いてますし、NYの高級レストランでもフォーマルな男女がテーブルで平然と、赤い袋を破って、ホルダーつきの糸ヨウジでお手入れしています。
多くの欧米人は、学童期に歯並び矯正をして、その時期にオーラルケアのコツ、重要性を学び、成人してからも、普通に歯の隣接面ケアを行い、6ヵ月毎に歯のチェックアップを受けています。
虫歯が0で、歯周病なんてまったく関係ない生活が確立されているのです。
もちろん例外はあります。貧困層はまったくそうではありません。おそらく30代半ばで総入れ歯になります。
歯科の処置は高額で、保険が効かない場合が多いからです。
振り返って、日本人の私たちは、どうでしょう?毎日の生活の繰り返し、人生の中で、歯の隣接面ケアなど、考えもしないでいます。
ほぼ、90%以上の日本人は歯周病です。虫歯もあとからあとからできて、磨いているのに虫歯と歯周病です。世界の貧困層と大して変わりません。学童期の初期、いや、幼児期の5歳からの奥歯のケアにもう、フロスは必要です。
歯の隣接面をたとえるなら、身体の背中や、脇の下、指の間です。
なぜ?多くは見えない部分です。しかしその部分、毎回こすらなければ垢が溜まり、角質層が残り、皮膚のくすみ、ひび割れ、皮膚病、水虫など不潔きわまりなくなります。
そう、歯の間の隣接面も同じことでしょ?
毎食後(3AM)、食後3分でのフロスケアがお口のプラークコントロールを24時間達成し、維持するために必要不可欠です。
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