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オーラルケアするとアンチエイジングに
 
2012年6月

1.オーラルケアトリートメントであなたの血管も若返る!!
2.よく噛んで、アンチエイジング

若さを保つ抗加齢プログラム

1.オーラルケアトリートメントで
あなたの血管も若返る!!


40歳から始める、内臓のアンチエイジング
歯周病になると、動脈硬化も促進される。

口の中の菌の塊(プラーク)によって歯茎が炎症を起こし、歯を支えている骨や組織が破壊され、最終的に歯が抜けてしまうのが歯周病。歯周病菌が主な原因だが、過度なストレス、喫煙、飲酒、糖尿病などによっても引き起こされる場合がある。また、歯周病菌の持つ毒性が血管を刺激しつづけると、動脈硬化や心臓血管の病気になる恐れもあるので要注意。
口腔内を清潔に保つことで、歯周年齢は下げられる。歯みがきと定期的なデンタルクリーニングは必要。

→歯周病を治すと、動脈が若返ります。


動脈硬化の仕組み血管と血液のコンディションを
知ることが内臓の健康につながる。

「動脈の血液の流れが悪くなり、血管が狭くなってきて血栓を作ると、脳梗塞、心筋梗塞につながりかねない動脈硬化症という症状を作りだしますが、これが大きな問題なのです。現在、日本人の死因の3割はガンですが、動脈硬化が引き起こすといわれる心疾患と脳血管疾患を合わせると、ガンと同じく死因の約3割にのぼります。幸い、血液の状態も血管の状態も検査すればチェックすることができるので、気になるかたは、ぜひ検査を受けることをおすすめします。」

北青山Dクリニック院長 阿保義久さん

動脈硬化の多くでは動脈の内側にコレステロールなどが溜まり、粥状の隆起(プラーク)が生じる。プラークが破裂すると血液が固まり、動脈が詰まってしまう。

動脈硬化を引き起こすといわれる危険因子


食事や運動など生活習慣を改善し、血管をアンチエイジング

●1日30
分のウォーキングを心がける
「血管も筋肉でできていいますから、運動は効果的です」
日々、適度な運動をすれば、動脈硬化の進みを抑えられる。理想は1日1万歩。毎日30分程度のウォーキングを、日常生活にプラスするくらいが目安だ。

●質の悪い油や塩分、糖分を摂りすぎない。
血管のかたさには、生活習慣病が大きく関わっている。危険因子とされる高血圧、脂質異常症、糖尿病にならないよう、塩分や糖分の摂りすぎに注意したい。また、悪玉コレステロールが増えると血管が詰まりやすくなるので、質の悪い油もなるべく避けよう。

●BMIを記録して肥満に気をつける
肥満は、動脈硬化を促進する原因の一つ。肥満度の指標として、BMIがある。BMIの計算式は世界共通だが、肥満の判定基準は国によって異なる。日本肥満学会では、BMI25以上を肥満としている。適正値内に収まるよう、体重管理を。

BMI


●1年に1度は血管の検査を受ける
現在、検査を受けて問題がなかった人も、血管年齢の若さをずっと維持できるとは限らない。不摂生などが原因で、急に血管年齢が上がる可能性もあるので、年に一度は定期的にチェックしておくと安心だ。生活スタイルが変わったり、体重が増えたり、運動量が減ったり、体や暮らしに変化があった場合は、早めに検査を。

●タバコを吸わないと血管の弾力性は改善する
喫煙は、動脈硬化を進めることが知られている。反対に、禁煙すると血管の弾力性が改善されるとの調査結果も。血管の若さを保ち、動脈硬化症の疾患を防ぐには、タバコは吸わないほうがいい。

血液をきれいにしてくれる、上質のオイルの知識をもとう。

「悪い油は血管の中を汚して血液の流れを悪くする原因となりますが、良い油は逆に、血管の汚れを洗い流し、血液をサラサラにする働きがあるといわれています。まず、オイルには飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があることはご存知ですよね。前者は肉の脂身やバターなど常温でも固体、分子構造が安定していて、そのままの状態で変わらない脂肪です。これからお話しする、積極的に摂りたい不飽和脂肪酸は、不安定である分、いろいろ変化して活性化しやすい液体のオイルです。ただし気をつけたいのは、不飽和脂肪酸の一つであるトランス脂肪酸です。植物オイルに水素添加したもので、加工油脂のショートニング、古いオイルなどに含まれていますが、悪玉コレステロールを増やすだけでなく、善玉コレステロールを減らすということが知られています。多くの加工食品に含まれていますので、なるべく摂らないように意識しています。」
美容家、オーガニックスペシャリスト 吉川千明さん

  不飽和脂肪酸
  一価不飽和脂肪酸 多価不飽和脂肪酸
成分 オメガ9(n-9系)
オレイン酸
オメガ3(n-3系)
αリノレン酸
EPA・DHA
オメガ6(n-6系)
リノール酸
γリノレン酸
アラキドン酸
油の種類 オリーブオイル
アボガドオイル
エゴマオイル
青背の魚
月見草オイル
大豆油
ひまわり油
卵 等
注意点 熱に強い 熱にとても弱い 熱に少し弱い


口と全身の老化度は一致しています。

「歯周病があると動脈硬化を促進させたり、糖尿病を悪化させたり、口腔と全身の関連性が叫ばれています。歯周病を治したら、狭かった血管が広がってきたなど、さまざまな影響があることも報告されています。ですから、全身と口腔をトータルで診ていくことが大切なんです。」

鶴見大学歯学部教授 斎藤一郎さん

→お口の筋力(舌・頬・唇)を保つことで、唾液をいっぱいだしましょう。

若さを保つ抗加齢プログラム

→首・肩の運動も大切です。

クロワッサン 2012年5月25日号より

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2.よく噛んで、アンチエイジング
まず、噛んで食べる「咀嚼」の大切さを知ろう


1.”よく噛む” ことと”脳のリハビリ効果”の関係

歯が十分使えないと、学習・記憶能力が低下する!?

「噛むこと」の大切さを教えてくれる、面白い実験結果がある。老齢期のマウスの奥歯を削り取り、学習・記憶力を測定したところ、健全な歯を持つ老齢マウスに比べて、記憶力が5分の1ほどに低下したいという。さらに、削り取った歯を治療して「よく噛める」ようにしたところ、学習・記憶能力が日ごとに回復していったというのだ。また、歯を治すことで、記憶力などに重要な役割を果たす「海馬」の神経細胞も、8割方回復した。「よく噛む」ことは、脳の活性を向上させることが、この実験からも推察できる。

 人を対象にした疫学調査でも、「歯の喪失と認知機能の関連」についてのデータが得られている。大規模な地域高齢者の健診では、認知症の疑いのある群ほど、現在残っている歯の数が少ない傾向があった。また、脳のMRI検査では、歯が少ないほど、海馬を含む側頭葉内側部や前頭・頭頂連合野領域の灰白質の容積が、減少することが分かっている。ここは記憶や空間認知、計算や思考を司る重要な場所だ。「噛む」ことが、こんなにも脳機能に影響を与えている事実に、改めて驚かされる。

よく噛むことで、脳が活性化する

 私たちは日常生活の中で、「歩くこと」や「呼吸すること」と同じ様に、無意識のうちに「咀嚼」を行っている。しかし、食物を歯で噛み砕いて、唾液を混ぜて飲みやすくするという行為は、下あごの動きや唾液の分泌、舌うまく使うなど、極めて複雑な運動の組合せで行われているのだ。

日本咀嚼学会理事長の小林義典日本歯科大学教授は、「咀嚼によって、機械受容性(※1)、味、臭、温度などの三叉神経を介した強い感覚入力が脳の広い範囲に及び、脳が活性化されます」と、咀嚼の果たす役割を次のように説明する。

まず、脳の網様体に入力されると、情動や記憶に関わる覚醒作用を生み、人間としての行動的な覚醒作用につながる。つまり、中高年以上では、「よく噛む」ことで、「脳のリハビリテーション効果」が期待できる。また、高齢者では、寝たきり状態にならない予防効果があるそうだ。

さらに、大脳皮質に入力されると、情動や記憶に関わる領域にも入力される。例えば、幼稚園児や小学生、大学生に1日に3~4回、各10~15分間、毎日ガムを噛むことを2週間以上やらせると、テストの成績が上がっていくという。幼稚園児や小学生では、十分な咀嚼と知能指数との間に、相関が認められている。

「脳の活性化を表す脳血流の増加は、咀嚼によって確認されています。私たちが行った脳血流分析システムを応用した研究では、咀嚼は手や指の運動よりも脳血流を増加させ、また、硬い食物の方が柔らかい食物よりも効果があることが分かりました。ですから、『歯ごたえのたる食物を食事に取り入れてよく噛むこと』は、脳の活性化に極めて重要であると言えます。
 ちなみに、姿勢も重要で、寝たままあるいはリクライニング状態では、脳の活性化が望めません。少なくとも上半身を真っ直ぐに姿勢を正して、咀嚼しなければなりません」

(小林義典教授)


※1 機械受容性:歯がお互いに接触したり、食物が歯や歯肉に接触することによる刺激。

2.脳の活性化だけではない”噛むことの効用”

”噛むこと”で心も体もリラックスする

 「よく噛む」ことは、脳の活性化につながるだけではない。咀嚼によって得られる様々な効能が、今、明らかにされつつある。

 例えば、咀嚼は心身のリラックス作用を引き出す。美味しいものを食べることで、脳の報酬系(※2)が刺激され、「快情動」が引き起こされる。すると、人を心地よい気分にさせる脳内物質「β-エンドルフィン」の分泌も促されるので、リラックス作用にもつながる。

 実際、健康な人にガムを噛んでもらい、そのときの脳波を調べてみると、リラックスしたときに観察される「α波」が増加し、イライラしたり緊張しているときに出る「β波」の低下が認められる。それは、ガムを噛み終わったあとにも持続するという。ガムなどを「噛む」効用には、ストレスを軽減し、緊張を和らげる働きもあるのだ。

よく噛んで食べれば、肥満の防止にもなり、健康増進につながる

 「よく噛む」ことは、肥満の防止になることが分かっている。よく噛めば、脳の「満腹中枢」が刺激され、脳内ヒスタミン神経系が賦活されるので、食欲が抑制される。同時に内臓脂肪が分解されて、体熱生産や放散が促進される。「よく噛んで」食事をすれば、肥満にならないということだ。

また、よく噛めば、口の中の粘膜から栄養素を吸収することも分かっている。さらに、食事をとることで上昇した血糖値を下げて正常化する作用があるので、糖尿病の治療効果を向上させたり、予防的な効能もある。

「よく噛む」ことの効用その他、「よく噛む」ことの効用は、身体の運動機能の向上、視力低下の予防、免疫力の向上、骨粗鬆症の予防などが報告されている。(図表1)

特に、よく噛むと盛んに分泌される「唾液」の効用を忘れてはいけないと小林義典教授は語る。(図表2)

「唾液の分泌を促進すると、虫歯や歯周病の予防につながり、また、細菌の働きを抑えます。その他、食物中の発がん物質の働きを抑えたり、アレルギーに関わる抗原に加え、活性酸素を消失させます。さらに、ウイルスなどを直接攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を増加させたり、老化を抑制したり、私たちの体にとって、大変重要な働きをしているのです。十分に唾液の分泌を促すためには、歯ごたえのある食物を一口で30秒、または30回以上よく噛む必要があります」

しかし、現在の日本では、これほど重要な「咀嚼」が、ともすれば、疎かにされている。それはなぜだろう。

唾液を出すことの効用


※2 報酬系:食物を獲得したことによる安心感や安全感、満腹による喜びや満足感を生じる部。

3.噛まなくなった現代人に危険信号

戦前に比べると、咀嚼回数は6割も減少

小林義典教授は警告する。

「食事の時間を惜しんで、噛む時間が短くてすむ、柔らかなファーストフードやジャンクフード(※3)のようなものばかり食べている現代日本人の咀嚼回数は、わずか数十年前の戦前に比べると、約6割も減っています。(図表3)
時代によって変わる咀嚼回数
また、健康を維持するためには、本来は食事から必要な栄養素を適切に摂取することが大切なのに、安易に健康補助食品や栄養剤などを多用するという傾向もあります。こうしたことで、人間の生存にとって身体的にも精神的にも不可欠な「咀嚼」という行動が疎かにされ、いろいろな問題が起きてきているのです。

小児や未成年者が、噛む回数が少なく柔らかい、ファーストフードやジャンクフードばかり食べていますと、咀嚼筋とそれらが関連する顔やあごの骨の成長発達が遅れ、頭、顔、あご、口、さらに唾液を分泌する唾液腺、特に耳下腺の発達が抑えられ、、あごが小さくなります。それに伴って、歯や舌の位置が不正となり、口呼吸となり、虚弱体質をつくることになり、顎関節症や種々の耳鼻咽喉科疾患、姿勢障害、睡眠障害などを発症させやすくします。

必然的に先ほど述べた咀嚼の効能も阻害されます。また、中高年以上でも咀嚼の効能が阻害され、健康に影響が及ぶことになります」



よく噛むには”正しい噛み合わせ”が条件となる

健全な咀嚼は、咀嚼筋やあごの関節、あごの骨、それに歯や歯周組織、舌、唾液腺など、咀嚼系を構成する器官と中枢神経系が健全に働かなければ成り立たない。特に、咀嚼運動には「噛み合わせ(咬合)」が具体的に関わるので、咬合に問題がある場合には、咀嚼にも影響がでてくる。現代の日本人が噛まなくなったのは、噛み合わせの不具合も影響しているということはないだろうか。

小林義典教授によれば、「噛み合わせが不安定だったり、損なわれている場合には、歯科治療を行い、適正に回復する必要があります」ということだ。悪い噛み合わせをそのままにしておくと、「ものが食べにくい」だけでなく、顎関節症や口腔顔面痛、口腔顔面変形、姿勢障害、全身運動機能低下、聴力低下などを起こしやすくなることもあり、脳内ストレスや睡眠中の歯ぎしりや噛みしめ、睡眠障害を起こす可能性もあるという。

「噛まなくなった現代日本人」は、今一度、「咀嚼」の重要性、「食べる」ことの正しいあり方について考え直す必要があるようだ。なによりも、健康長寿には、「咀嚼」が大切なことを再認識したい。

「噛むこと、そして食べることは、人間が生きていくための基本的な動作です。多くの動物では、噛めなくなることは命が終わることを意味します。家族が食卓を囲んで楽しく食事をすること、そして健全な咀嚼とは何かまで、『いかに食べるか』を考えることは、今、緊急の課題として、われわれが取り組まなくてはならないことだと思います」

(小林義典教授)

※3 ジャンクフード:塩分、糖分、脂肪分が多く、栄養価が低いスナック菓子などのこと。

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