女性ホルモン補う「エクオール」 大豆パワーの源 更年期症状、改善に期待

参考:2014年11月30日(日) 配信 毎日新聞社

女性が閉経を迎える前後の10年間、おおむね45~60歳の期間を更年期と言います。 この時期は女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の急激な減少によって、様々な心身の不調が起こりやすく、エストロゲンを補う必要性がしてきされています。 そんな中、エストロゲンを簡便に補えるものとして注目されているのが、大豆イソフラボンから生み出される「エクオール」です。 日本人女性の2013年の平均寿命は厚生労働省の調べによると86.61歳。 東京歯科大学市川総合病院産婦人科部長 高松潔教授は、「閉経年齢の中央値は50.54歳、閉経から86歳までの36年間をどのように過ごすかはとても大事な問題です。」と話す。 女性は40歳を過ぎた頃から卵巣機能の低下が始まります。 更年期に入ると、その低下は急激になり、それに伴い、卵巣から分泌されるエストロゲンの減少が起こります。 すると、のぼせや発汗、めまい、不眠などの更年期障害、脂質異常症、骨粗しょう症など心身に様々な症状が表れます。 こうした症状の改善に、婦人科では主にホルモン充填療法や漢方による治療が行われていますが、病院に足を運ばずにエストロゲンを補う方法として、豆腐や味噌といった大豆食品を摂取することが言われています。 大豆食品の中にはエストロゲンに似た働きを持つ成分「大豆イソフラボン」が含まれており、更年期障害の軽減が期待されているのです。 日本人女性の更年期障害や心血管疾患などの発生率が少ないのは、伝統的に大豆製品をよく食べる食生活に関係があると言われています。その一方で、大豆イソフラボンを摂取しているにも関わらず、すっきりと更年期障害が改善されたように見えないといったことも、言われてきました。 その謎を解明したのが、「エクオール」。 エクオールは大豆に含まれる大豆イソフラボンの一つである「ダイゼイン」が腸内細菌・エクオール産生菌によって代謝されて生じる物質。 細胞のエストロゲン受容体に結合することで、エストロゲンに似た働きをし、さらに抗酸化作用なども認められています。
07年に日本更年期医学会(現日本女性医学学会)雑誌に掲載された調査では、大豆イソフラボンの一つであるゲニステインとダイゼイン、そしてエクオールが尿中に排出された量をそれぞれ測定したところ、更年期症状の重い女性の尿にはエクオールの量が少なく、症状が軽い女性の尿にはエクオールの量が多いという結果が出た。ゲニステインとダイゼインの尿中排出量には差が認められなかった。また、12年には実際にエクオールを投与された女性ののぼせや肩こりといった更年期症状が改善したという報告も英文誌に発表された。
こうした結果により、更年期症状の程度は摂取した大豆イソフラボンよりも、その代謝物であるエクオールと関連があることが判明。以来。エクオールの研究が進み、脂質代謝の改善、メタボ予防、皮膚老化の予防などに効果があることも発表されています。 ただし、このエクオールを生成するために必要な腸内細菌を持っている人と持っていない人がいると、高松教授は指摘します。 人間は生まれた時点では腸内細菌は持っておらず、食生活や生活の中で腸内細菌の集団が形成されます。 ゆえに個人差があり、大豆の摂取量や食生活の違いで腸内環境に差がでてきます。 大豆食の習慣がある日本人でも、エクオール産生菌を持っているのは5割。さらに近年は、食生活の欧米化によって、若者のエクオール産生菌保有者の割合は2~3割程度にとどまると言います。 自分がエクオール産生菌を持っているか否かは、尿検査によってわかります。 さらに、産生菌を保有していても、大豆を摂取しなければエクオールは生成されません。 まずは自分の食生活を振り返り、大豆を摂取すること、サプリメントで補うのも効果的だとのこと。 しかし、高松教授としては、「更年期障害でつらかったら、真っ先に病院に来てほしい」と言います。 実際に更年期症状がある人でも、婦人科を受診した人はその10%にも満たないのではと考えられています。 更年期障害の背後には、うつ病や甲状腺機能障害といった別の病気が隠れていることも少なくありません。 「病院はハードルが高くて行きづらい人は、大豆やサプリメントを摂取してみて、それでも不調が治らなければ、必ず病院に来てください」と高松教授は述べています。 ちなみに、どのくらいの大豆を摂取することが必要なのか。 内閣府食品安全委員会の調査では、エクオール産生菌保有者の場合、大豆イソフラボン50ミリグラムからエクオールが約10ミリグラム産生されると言われています。 大豆イソフラボン50ミリグラムは、豆腐3分の2丁(200グラム)、納豆1パック(50グラム)、豆乳1杯(200グラム)に相当します。 日本の伝統食には、味噌やしょうゆ、納豆、豆腐、厚揚げ、湯葉などの大豆製品が欠かせないものとなっています。 大豆パワーの宝庫である「和食」を、普段から食べるよう心掛けてはいかがでしょうか。
Dr.堤より 更年期障害をコントロールできるか?大豆からのイソフラボン