TOMORROW「肺炎急増の謎~避難所を襲った危機 熊本へ from 東日本」【5月24日放送】

参考:2016年05月24日(火) 10時15分~10時44分/NHK総合

熊本地震の被災地ではまだ多くの人が避難をしています。長期間に渡る避難で様々な問題が発生しています。今回は肺炎患者の増加の問題。東日本大震災の際も被災地で増えていました。

 2011年の東日本大震災。避難生活を始めた被災者たちには肺炎患者の急増という危機がありました。肺炎によって命を落とす人も現れました。なぜ、肺炎患者が急増したのでしょうか?アメリカ出身のモーリー・ロバートソンが真相に迫ります。

肺炎急増の謎 ~避難所を襲った次なる危険~
 宮城県気仙沼市、大震災の混乱の中、53人が肺炎で亡くなりました。モーリー・ロバートソンは震災当時、宮城県沿岸を訪れていました。当時、患者の多くが運ばれたのは気仙沼市立病院でした。モーリーは肺炎患者の対応をしていた冲永さんを訪ねました。肺炎患者はじわじわと増えていたといいます。

 肺炎は細菌などで肺が炎症を起こした状態のこと。初期症状は咳や発熱などだが、最悪の場合は死に至る病気。気仙沼市立病院でも死亡する患者が出ていました。医師は2名で他の病院からの応援が必要だったといいます。何人もの治療を続けるうちに、避難所からやってくるという共通点がありました。

 当時、避難所だった病院から10分の所にある老人ホームは避難所になっていました。当時の写真には一つの部屋で多くの人が寝泊まりしているのが分かりました。ここでは、ライフラインが長期に渡って滞っていて、こういう環境で肺炎患者が増えていったそうです。

 震災の翌月に大東さんが気仙沼市にやってきました。震災当時は東北大学で呼吸器の研究をしていた大東さんは気仙沼市立病院に赴任しました。続々とやってくる肺炎患者の治療の一方で調査に乗り出しました。多くの患者が成人で18歳以上を対象に調査を開始し、情報を集めることにしました。対象は、この街で重症患者の受け入れをしている病院。その一つ、本吉病院は津波の被害に遭い、調査が困難でした。もう一つの大友病院は当初、協力は難しいと言われました。しかし、大東さんは説得し、調査が可能になりました。

 集計すると震災を境に急増していて、市内全域で肺炎患者は増えていたことが明らかになり、90%が65歳以上と判明。これは、気仙沼市だけの問題ではありませんでした。石巻市の石巻赤十字病院では、肺炎の入院患者は普段の7倍までに上昇していました。呼吸器科の医師は、津波が運んできた汚泥を吸い込んで発症した肺炎という見解を持っていて、この粉塵が肺炎を引き起こしているのではないかと考えられました。しかし、大東さんの調査結果ではありませんでした。特殊な肺炎はあることはありましたが、全体の4%にすぎません。

 答えは歯科医師たちがもっていました。口の中で繁殖する細菌でした。肺炎球菌は普段では極わずかしか存在しませんでしたが、水不足などの震災生活で増えていったそうです。さらに、避難所特有の生活習慣にも問題がありました。横になる姿勢が肺炎を引き起こしやすくしていました。

 気仙沼市にある老人ホーム「恵潮苑」は歯科医師らの活動により、肺炎で入院する患者を出さずに乗り切った施設。震災当時100人を超える高齢者が避難生活を送り、ライフラインは十分ではありませんでした。施設長は「普段から口内を清潔にしてコンディションを良好に保っていたから」と患者が出なかった理由を話しました。震災の5年以上前から取り組んできた口腔ケア。担当の歯科医師は震災時には県外の医師らとともに取り組んだといいます。

 大東さんが避難所で口腔ケアを行っていたことを知ったのは肺炎患者の増加が終息に向かった頃で、歯科医師たちが肺炎が増加していることを知っていて予測して口腔ケアをしていたことに驚いたといいます。水が不足する災害時の口腔ケアは、専用のウェットティッシュを指に巻き付け口の中を掃除、乾燥すると雑菌が繁殖するので湿らせるように使います。ティッシュもない場合は唾液を出すマッサージが効果的。耳下腺・顎下腺・舌下腺を指の腹や手のひらで優しく刺激します。

 賀来教授は、「口腔ケアは肺炎予防に役立つというデータが出てきている。多少発症していても重症化を抑え誤嚥を防ぐこともできる」、などと説明しました。現在気仙沼市ではこのときの教訓を活かし、未来につなげるため新たな取組として医療の垣根を超えて人が集まり勉強会を行っています。歯科医師の金澤さんは、地域のチーム医療を震災前に創りあげておくべきだったと考えています。社会に広めていれば亡くなる人は少なかったのではないかといい、医療の垣根がなくなったこの機会にに地域力を高めたい、などと話しました。震災から3年後の今、気仙沼市では予防医療が盛んになっています。

Dr.堤より
歯科クリニックで、普段からオーラルケアの重要性を指導してこなかった、結果がここにある。お口の手入れは除去ケアではなく、予防ケアが大切で、食べたらすぐに、トイレの水洗と同じで、流すだけで、綺麗になる。だから、たべてすぐなら、洗口液とフロスだけで、しつこく、磨かなくても綺麗が続く、その時は、歯ブラシというよりは、ホルダーフロスだ!!!その結果として、肺炎や咽頭炎、風邪もなくなる。