銃乱射続発の米国、医学会も危機感

参考:米国学会短信2016年7月8日 (金)

病院前の止血プロトコール普及や医師自身の護身方法も 銃乱射事件が相次ぐ米国。先ごろ多数の死者を出したフロリダ州オーランドで発生した銃乱射事件を受けて、6月13日に米国家庭医学会、同小児科学会、同内科学会、同産婦人科学会、同精神医学会が連名で声明を発表。米国では毎日約91人が銃で亡くなっており、公衆衛生上の「流行状態(epidemic)」にあり、銃による暴力をなくすための取り組みを進めなければならないと強調しています。 同月15日には米国医師会が、米国外科学会が策定した集団災害や銃乱射事件などによる被害者の出血に対する初期対応プロトコールの普及を進めると表明しました。具体的には警察・消防関係者や一般市民への病院前の止血に関する教育や止血コントロール器具などが含まれ、「止血が行われないために死亡する人をゼロにする」姿勢を打ち出しました。 銃の犠牲になるリスクは医療従事者もゼロではありません。米国救急医学会では公式ニュースブログで救命救急医のHoward K. Mell氏が「救急部門で銃撃が起きた場合、救急医が取るべき行動」について自身の考えを記しています。 Mell氏によると、救急部門内での銃乱射はかなりまれで、米国で2000-13年に起きた銃乱射事件160件のうち、医療機関が現場となったのは3件。このうち1件が救急部門だそうです。また、救急部門内で起きた銃撃事件の半数は警察官が犯人の武装解除のために発砲するパターンとも紹介しています。 それでもなお、救急部門に銃を乱射する犯人が侵入してきた場合の最終手段としてMell氏は(1)走って逃げる、(2)隠れる、(3)応戦する、の3つを挙げています。(1)については、救命救急医として患者を置いたまま逃げることにかなり抵抗があるだろうとしながらも、「とにかく危険」と同氏。常に鍵や認証を必要としない非常口を把握しておくことを勧めています。  (2)はもし逃げることが難しい場合の手段で、進入が難しく、簡単には見つかりにくく、犯人の通り道とは外れた場所が理想的と説明しました。隠れ場所の例として、薬剤室や物品倉庫、放射線検査室などを挙げています。  (3)の「応戦する」は最終手段ですが、同氏が強調しているのは「自分が生きるために戦うことを理解しておく」ことです。日々人命を救う職業意識を捨てて、犯人に立ち向かうことが重要と述べています。なお、犯人に応戦する際には、できるだけ多くの人を集めること、鎮静剤や消火器、松葉杖など犯人の攻撃や戦力を失わせるためのあらゆる道具を使用するようアドバイスしています。