禁煙30年後も遺伝子に「足跡」【米国心臓学会】

参考:米国学会短信 2016年10月5日 (水)配信

フラミンガム心臓研究含むゲノムコホートのメタ解析

 喫煙が遺伝子の活性化を制御する過程の1つであるDNAメチル化と呼ばれる「足跡」を残すことがゲノムコホートのメタ解析で明らかになりました。既知のヒト遺伝子の3分の1に当たる7000種もの遺伝子で喫煙によるメチル化部位の影響が確認され、一部は禁煙30年後も残存していたとの結果も示されています。米国心臓学会(AHA)が9月20日、Circulation: Cardiovascular Genetics誌の掲載論文を紹介しました。  研究グループは心臓と加齢に関するゲノムコホート(CHARGEコンソーシアム)の16グループに参加した約1万6000例の血液検体を用いたDNAメチル化部位のメタ解析を実施しました。同コホートには1971年から開始されたフラミンガム心臓研究も含まれます。現在の喫煙者、前喫煙者、過去の喫煙歴なしの人を比較した結果、 (1)喫煙に関連したDNAメチル化部位は7000種以上の遺伝子で確認された。この数は既知のヒト遺伝子の3分の1に相当する (2)禁煙した群では、禁煙から5年ほどでDNAメチル化の大部分は喫煙歴なしと同じレベルに回復していた (3)ただし、DNAメチル化部位の一部は禁煙30年後も持続していた (4)最も統計学的に有意なメチル化が見られた部位は、心血管疾患や一部の癌のように喫煙が原因となる多数の疾患で多く発現する遺伝子と関連していた― などの知見が得られました。  研究グループは、今回の主要な解析は長期の影響を見るためにデザインされたものではないが、喫煙がDNAメチル化に与える影響を見た検討としてはこれまでにない規模と説明しました。今回の検討結果は喫煙がヒトの体に分子レベルで長期的な影響を与えることを示唆する一方、禁煙によりDNAメチル化の大部分が喫煙歴なしの人と同じレベルに回復できるということも励みになるニュースとも述べています。 関連リンク Smoking leaves historical “footprint” in DNA