知的障害児への薬物療法実態が判明

参考:m3.com 2016年12月5日 (月)配信

知的障害児への薬物療法実態が判明

医療経済研究機構調査、13%に抗精神病薬を処方

医療経済研究機構は11月29日、知的障害児に併存する精神疾患・行動障害に対する薬物療法の実態に関する研究成果が「精神神経学雑誌」に掲載されたと発表しました。約2000例を1年に渡って追跡し、13%に抗精神病薬が処方され、このうち半数で年306日以上の長期処方が認められたといいます。同研究は、同機構主任研究員の奥村泰之氏が横浜市南部地域療育センターの井上祐紀所長、横浜市立大学の藤田純一助教らと共同で行いました。 知的障害児は、統合失調症などの精神疾患や自傷行為などの行動障害を併存することが少なくなく、世界精神医学会による診療ガイドラインでは、行動障害の背景に精神疾患が認められない場合は、環境調整や行動療法などの非薬物的対応を第1選択とするよう推奨されています。また、無作為化比較試験のメタアナリシスで、行動障害が認められる知的障害児に対する抗精神病薬の使用が、短期的には行動障害が改善する一方で、体重増加などの副作用発現リスクを増加させることが示されていました。しかし、知的障害児に併存する精神疾患・行動障害に対する薬物療法の実態を明らかにした大規模な調査はありませんでした。 同研究では、株式会社日本医療データセンターが構築している、健康保険組合加入者162 万人のレセプトデータベースを用いて、コホート研究の手法により分析。そのうち知的障害児2,035人を対象に、精神疾患・行動障害に対する薬物療法の実態を1年間にわたって調査しました。その結果、13%に統合失調症治療薬である抗精神病薬が処方されており、うち半数に年306 日以上の長期処方が認められることなどが示されたといいます。 これらの結果から、研究グループは医療場面や教育場面での支援者に対して適切な支援のあり方を普及するため、知的障害児に対する行動障害の診療ガイドラインの整備や、より安全な薬物療法の担保へ、副作用のモニタリングなどの制度化が求められているとの見解を示しています。