系統的口腔ケア&補綴の「“食べる楽しみ”を支援する」。口腔機能・食支援・摂食嚥下リハビリテーションへの理解を

参考:2016/12/15 Dentwave.com

歯科医院は当然ですが、病院や介護施設でも歯科衛生士への期待・ニーズが高まる昨今、その業務・機能へ質的レベルの向上が求められています。そうした背景から歯科衛生士教育が問われてきています。そんな中で、日本歯科衛生教育学会学総会・学術大会が12月10日、11日の両日、東医歯第M&Dタワーで開催されました。古屋純一・東医歯大大学院教授が教育講演(地域・福祉口腔保健衛生学)「“食べる楽しみ”を支援する」を行いました。口腔機能・食支援・摂食嚥下リハビリテーションへの理解と今後の対応を含め、歯科衛生士の機能・業務に大きな期待がある内容でした。講演要旨を以下に紹介します。 まず古屋教授は「現在の病院・施設・在宅などで口腔機能管理を担当する臨床現場の人たちからは、多職種連携医療における食支援の一環として口腔問題に対応する機会が増加している」と最近の傾向を紹介しました。高齢社会の到来により、施設・在宅を問わず、高齢者の生活に関して様々な問題がクローズアップされることが多くありますが、その中で食事・口腔についての問題が指摘されてきています。古屋教授も「口から食べることは栄養やGOL、生き方の選択に深く関わり、医療だけでなく福祉の現場でも今後その重要性が高まってくることは間違いない」と指摘しました。 具体的な高齢者の食支援について、その基本に関して「多職種が高い専門性をもって連携する摂食嚥下リハビリテーションが中心になる。口腔ケアに代表される歯科的アプローチも、当然その一環として捉えることが重要で、それこそが多職種連携の第一歩である」と強調しました。一方で、そのために口腔機能管理等を歯科衛生士教育で実施されていることを評価しながらも「臨床現場では様々な意味で複雑・困難な状況であり、そこでの適切な対応を図る共通認識として、摂食嚥下のメカニズムとその障害、リハビリテーションを深く理解する必要がある」とした上で、さらに「超高齢社会においては様々な制約の中であっても口腔機能を最大に引き出すことで、有機的に摂食嚥下リハビリテーションに関わり、栄養やQOLを支え、高齢者医療の中に歯科のアウトカムを展開していくことが歯科に課された重要な役割である」と追加しました。 以上のように、社会的には歯科への期待が出てくると想定されます。ただし、必ずしも歯科衛生士教育では十分に対応する内容になっていないと現状認識を示しながら「経口摂食や嚥下訓練を始めるために、口腔機能が賦活され口腔衛生が良好で義歯を含めた口腔環境が整っている必要があり、口腔ケアや義歯も食べるための口腔機能管理や装置でなければならない。必要なエビデンスの口腔ケアや教育は十分ではない」と課題を呈しました。 最後には次のように要望しました。「“口腔ケア”の重要性はどこでも指摘されるものだと思う、歯科としても適切に対応していく必要があります。まさに社会の期待に応えねばなりません。ここで改めて考えると、確かに様々なケースでの“口腔ケア”があるかと思います。そのためにも系統的な口腔ケアを理解してほしいです。また、臨床現場では今後、インプラント治療を受けた患者の対応も多く出てくると思います。インプラントのフィクスチャーや上部構造などの理解を深めてほしいものです。患者との対話・説明をするには大事なことです。歯科衛生士にも最低限の補綴の知識を有してほしいと思っています」と、今後の対応を見据えて述べていました。 歯科は当然でありますが、治療を中心に展開してきた経緯からすると“食”や“栄養”に関しては、付随して必要な事柄としていたことは事実。関心の高い歯科医師・歯科衛生士がする分野と理解されていました。11月に開催された日歯学会研修会「歯科と保育・栄養」では“食”に関連する歯科的対応をクローズアップ。弘中祥司・昭和大学歯学部教授が現状報告・課題を提示していました。口腔機能スクリーニング方法として口腔運動機能(ブクブクうがい・オーラルディアドコキネシス)、咀嚼機能(咬合力=デンタルプレスケール、咀嚼力=咀嚼力ガム)、嚥下機能(下記参照=RSST:反複唾液嚥下テスト、MWST:改訂水飲みテスト)を紹介し「評価から、個人に最も効果的な健康支援法を導くことが求められるとしました。「日本栄養士会との連携強化、FAQを利用した歯科医療関係者の育成が必要」と強調しました。歯科に求められる機能・責務が広くなってきた証しでもあり歯科関係者にも新たな認識が必要になりましたが、古屋教授の講演内容はまさに歯科衛生士教育へのポイントが報告されるものになりました。