砂糖の有害性、業界団体が50年隠す? 米研究者が調査

参考:朝日新聞 2017年11月22日

 砂糖の取りすぎの有害性について指摘しようとした研究を、米国の砂糖業界が50年前に打ち切り、結果を公表しませんでした――。こんな経緯を明かした論文が21日付の米科学誌「プロス・バイオロジー」(電子版)に掲載されました。業界が利益を守るために否定的な研究を隠すことで、長期間にわたり消費者をだましてきたとしています。

 米カリフォルニア大サンフランシスコ校の研究者が、米イリノイ大などに保管されていた業界団体「砂糖研究財団」(現・砂糖協会)の内部文章を調べ、明らかにしました。

 論文によると、でんぷんの炭水化物に比べ、砂糖は心臓に有害だとする研究発表が1960年代に出始めました。懸念した財団幹部が68年、英バーミンガム大の研究者に資金提供して、ラットで影響を調べたところ、砂糖の主成分のショ糖を与えると、動脈硬化と膀胱(ぼうこう)がんにかかわる酵素が多く作られることが分かりました。腸内細菌の代謝により、コレステロールや中性脂肪ができることも確認できそうでした。

 研究者は確証を得るため、研究の延長を求めましたが、財団は資金を打ち切り、成果は公表されなかったといいます。70年の内部報告で、当時の幹部は「研究は業界にとって有益で意義のある情報を引き出すべきだ」と述べ、有害性を示唆した研究の価値は「無」だとしています。

 今回の論文について砂糖協会は「50年前の出来事について、推測と仮定をまとめたものだ」と批判。研究の存在は認めつつ、予算や期限が超過したため打ち切られたとしています。(ワシントン=香取啓介)