職業で異なる歯周病リスク

参考:2017年11月22日(水)配信 薬局新聞

 職業で異なる歯周病リスク ライフスタイル別の歯周病リスクと近年の歯周病事情 入江浩一郎氏(岡山大学・予防歯科博士研究員)

 11月8日は”いい歯の日”とされており、様々なイベントや取組みが行われました。歯周病の原因菌の殺菌と歯周プラーク(歯垢)の除去による歯周病対策を目的としたオーラルケアブランド「G・U・M」を展開しているサンスターは、11月8日に六本木・東京ミッドタウンにて液体ハミガキの体験イベントを実施し、同日から『EVERYDAY G・U・M』キャンペーンも開始しました。今回、大人が気を付けるべき慢性疾患である歯周病について5年間に渡り追跡研究を行った、岡山大学・予防歯科博士研究員・入江浩一郎氏の講演を要約します。

容姿を気にする60歳未満と歯の悩みを抱える70歳以上

 大人が発症しやすいとされている”歯周病”は、口腔内の細菌によって発生する慢性炎症性疾患です。喫煙やアルコール摂取などの生活習慣が危険因子であると判明しており、むし歯に比べ症状が出にくい為、手遅れになり場合も多くあるといいます。

 しかし入江浩一郎氏によると健康への意識は年齢によって大きく異なっており、「55歳から59歳まではスポーツや肌の手入れなど、体調よりも容姿を気にする傾向にある。まだまだ体の衰えは感じていないと考えられる」といいます。一方70歳以上になると「歯の定期健診を受ければよかった、など歯に対する後悔を抱える人が圧倒的に多い」結果となり、年齢を重ねるほどに”歯の健康”に対する悩みや福祉サービスなどの介護に対する悩みが増加し始めます。

 さらに、超高齢化社会が叫ばれている現代における高齢者と歯の関係について入江氏は、「残存歯が多い人ほど医療費が少なく生活自立度も高い。一方、歯が少なく義歯もない人は転倒しやすかったり認知症になりやすかったりする。加えて、歯の少ない人は低栄養になりやすく要介護認定を受けやすい、なども明らかになってきている」と指摘し、歯の健康は全身に影響を及ぼすことを強調しました。

職業で異なる歯周病リスクとその要因

 大人が気をつけるべき疾患である歯周病は、プラークや歯石などの細菌因子、免疫や年齢、性別などの宿主因子、ストレスや食生活、栄養、喫煙などによる環境因子の3つの原因で発生、増大するとされています。また近年では、学歴や職業、経済力等の社会経済的要因も歯周病の危険因子になり得ることが指摘されています。

 男女間での差も大きく、入江氏が5年間行った研究結果によると、歯周病発症率は男性が31.6%、女性が23.8%となり、健康に対する関心や意識が高い女性は男性に比べ、発症率が低かったといいます。

 さらに、男性における歯周病の発症リスクは職業により大きくことなり、「発症者の少ない専門的・技術的従事者を1として比較すると、運輸・通信従事者は2.74倍、生産工程・労務従事者は2.52倍、販売従事者は2.39倍と歯周病発症のリスクが高いことが判明した」といいます。

 その要因について入江氏は「これらの職種は十分な睡眠や休息が取れない傾向にあり、職業に由来する精神的なストレスが高いことが報告されている。職業による精神的なストレスは、歯磨きの回数や歯間ブラシ、洗口剤の使用などの”歯科保健行動”に悪影響を及ぼすことが知られており、職業間における歯科保健行動の違いが歯周病発症に差を生じさせたのではないか」との見解を示しました。

 入江氏は、自分では気づきにくいむし歯や歯周病などの予防・改善策として定期的な歯科検診に加え、「自分に合った歯ブラシや歯間ブラシを使用することが大事」としたうえで、「時間に余裕がない場合や外出等で歯磨きが出来ないときは、殺菌作用がある洗口剤を使用するべき」と啓発。歯周病の原因菌を殺菌、殺菌後の口腔内に残留する病原性の菌も吸着除去することが報告されている薬用成分のCPC(塩化セチルピリジニウム)やBKC(塩化ベンザルコニウム)が含まれている洗口剤も近年多いことから、これらを使用したケアの必要性を強調しました。

 身体の健康に大きく関わる”歯”の健康について、いい歯の日をきっかけに改めて考えましょう。

Dr.堤より
生活の習慣による口腔内の管理不足が感染発症に繋がることを考えれば、当然、仕事による生活パターンや、行動や、思考気質などの影響が分類されるだろう。しかし、原因はあくまで、管理不足になる、知識の不足に起因しているのだから、人生の幼少期、学童期、思春期の3回でのしっかりした、健康管理知識の普及が必須だ。