低亜鉛血症で金属アレルギーが増悪化する可能性

参考:「Scientific Reports」2018年2月27日 (火)

東北大、細胞内ニッケル濃度の増加とともにIL-8の産生が増加

 東北大学は2月22日、ニッケルイオンにより誘発される炎症細胞の活性化が、生理的濃度の亜鉛イオンにより抑制されることを明らかにしたと発表しました。

 この研究は、同大大学院薬学研究科の平澤典保教授、加齢医学研究所の小笠原康悦教授らの研究グループによるもの。 近年、金属イオン、特にニッケルに対するアレルギー反応をしめす金属アレルギーの患者が増加しています。また、ステントなどのニッケルを含有する医療機器を体内に設置する機会が増加し、医療機器から溶出するニッケルイオンによる炎症反応、アレルギー反応の誘発も問題となっていますが、その抑制方法は確立されていませんでした。

 今回の研究では、ヒト単球系細胞株THP-1において、細胞内に取り込まれたニッケルイオン量を誘導結合プラズマ質量分析計により精密に測定し、インターロイキン-8(IL-8)の産生を指標として、炎症性細胞の活性化を評価。その結果、細胞内ニッケル濃度の増加とともに、IL-8の産生が増加することが確認されたといいます。

 さらに、各種金属イオンの存在下でニッケルイオンを刺激したところ、低濃度の亜鉛イオンがニッケルイオンの取り込みとIL-8の産生をともに抑制することを見出したといいます。また、マウス背部皮下にニッケル金属を埋入することにより、溶出したニッケルによる炎症反応を評価したところ、コントロールマウスに比べて、低亜鉛状態のマウスにおいて強い反応が誘発されることが明らかとなりました。

 これらの結果は、生理的濃度の亜鉛イオンがニッケルイオンによる炎症反応に抑制的に作用していることを示しています。研究グループは、この研究成果について、「近年、日本人に増大している低亜鉛血症患者の、ニッケルアレルギーが増悪化しやすいことを示唆し、注意を喚起するもの」と述べています。