大腸がん、血便がサイン…低年齢化進み30代で発症も

参考:2018年3月16日(金)配信 読売新聞

 大腸がんは近年、日本人がかかるがんの中では最も多く、比較的若い人も発症しています。がんが腸の表面近くにとどまっていれば、多くは内視鏡で病巣を取り除けますが、壁の奥深くまで広がると治療が大がかりになります。早期発見が大切です。(山崎光祥)

どんな病気?

 大腸は消化した食べ物から水分を吸収し、便にする全長約2メートルの器官です。大腸がんは腸の内側の粘膜に発生し、日本人ではS状結腸と直腸にできやすいとされます。

 国立がん研究センターは、2017年9月、同年の1年間で14万9500人が大腸がんになると推測しました。すべてのがんで最多です。患者は40代から増え始め、高齢になるほど多くなります。近年は低年齢化が進み、30代も珍しくありません。

どんな症状?

 早期には自覚症状はありませんが、進行すると、肥大したがんが壊れて血便や下血が見られるようになります。がんが大腸を塞ぐため便が細くなったり、便が残ってお腹が張ったりという症状が出ることもあります。血便は、痔(ぢ)と見分けられないので、すぐに精密検査を受けてください。

 さらに進むと、肝臓や肺に転移しやすくなります。大腸の壁を突き破れば、がん細胞がおなかの中に散らばるか、ぼうこうなど近くの臓器に広がっていきます。

どう治すの?

 がんが、粘膜の表面や、その下にある「粘膜下層」の浅いところにとどまっている早期ならば、多くはお尻から入れた内視鏡で病巣を切り取るだけで治療できます。おなかを切る必要はありません。

 かつては内視鏡では難しかった粘膜に平面的に広がったがんも、薬剤を注入してはぎ取れるようになりました。「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」と呼ばれます。これにより完全に切除できる確率はあがりますが、腸に穴が開くなどの危険性もあり、注意が必要です。この段階で治療した場合の5年生存率は90%台後半です。

 がんが粘膜下層の深いところから筋肉の層まで達すると、おなかを20センチ程度切り開く開腹手術か、小さな穴を数か所開けてカメラや器具を入れる腹腔鏡手術をします。進行に応じて抗がん剤や放射線の治療も併せて行います。

 腹腔鏡は、入院日数が1、2週間と開腹の半分で済みます。15年には手術数全体の7割余り(日本内視鏡外科学会調べ)を占めました。ただ、開腹と比べて難しく、合併症の発生率や5年生存率が施設間でばらつきます。

 特に直腸がんは骨盤や肛門の筋肉、排尿と性機能に関わる神経と近接しているため、手術自体に高い技術が要求されます。大阪医科大病院がんセンター(大阪府高槻市)の奥田準二特務教授「医師から人工肛門が避けられないなどと言われたら、手術数の多い別の専門病院で診てもらってください」としています。

どう見つける?

 大腸がんの検診には、便に肉眼では見えない血が混じっていないか調べる「便潜血検査」と、内視鏡を使った検査があります。40歳を超えたら潜血検査を毎年受け、1回でも反応が出れば、内視鏡で精密に調べることが大切です。

 内視鏡検査は、特に女性は敬遠しがちですが、がんで亡くなる女性で大腸がんが1位を占めている現実は発見の遅れと無縁ではありません。最近は機器の性能や挿入技術が向上し、専門医の訓練システムも充実しているため、検査に伴う苦痛は大幅に減っています。

 クリニックで受ける場合は挿入時間の短さが一定の目安になります。症状がなくても心配なら受けてください。