たばこのニコチン含有量、米国で規制へ FDAが計画発表

参考:m3.com 国際医学短信 2018年3月20日(火)配信

 米食品医薬品局(FDA)は3月15日、米国で販売される紙巻きたばこに含まれるニコチンの量に上限を設ける計画を発表しました。最終的な目標として、FDAは「ニコチンへの依存性をもたらさない含有量に抑えたい」としています。

 FDA長官のScott Gottieb氏は、記者説明会で「規制は短期間に喫煙者を死亡や疾患の原因となる燃焼たばこ製品から遠ざけ、燃焼によって生じる有害物質をもたらさないニコチン含有製品への切り替えを促進する可能性がある」と話しました。ただし、喫煙者を禁煙に導く「橋渡し役」として期待されている電子たばこなどの紙巻きたばこ以外の製品については「厳密な評価が必要」との見解を示しました。

 FDAによると、紙巻きたばこを主としたたばこ製品の喫煙が原因で死亡する米国民は年間48万人を超え、その医療費や生産性の損失で約3000億ドル(約31兆円)を費やしていると推定されています。Gottlieb氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量の規制をはじめとするさまざまな政策によって、たばこが原因の死亡を減らせる可能性がある」と説明しました。

 一方、FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は「毒性や依存性、普及率、非喫煙者への影響などを総合的に勘案すると、紙巻きたばこは公衆衛生において最大の負担をもたらしているたばこ製品だといえる」と指摘。また、「紙巻きたばこは、長期にわたって喫煙習慣がある人のほぼ半数に早期死亡をもたらしうるにもかかわらず、合法的に販売されている唯一の製品だ」と話し、その有害性を強調しました。

 なお、ニコチン含有量の上限値や、規制の導入を一気に、あるいは段階的に行うかなどについては、一般から寄せられた意見や科学的データの分析に基づき決定します。Gottlieb氏は「規制によって高用量のニコチンを含有するたばこ製品が闇市場で販売されるなど、予期できない問題が生じる可能性もある」と付け加えました。

 それでも、「New England Journal of Medicine」3月15日オンライン版に発表されたFDAのグループの研究によると、紙巻きたばこのニコチン含有量の規制によって1年以内に約500万人の喫煙者を禁煙に導くことができると予測されています。また、規制によって日常的な喫煙者とならずに済む人は2100年までに3300万人を超えると推定され、特に若年層での喫煙回避に効果的だとみられているといいます。さらに、現在は米国の喫煙率は15%ですが、規制によって1.4%まで下がるとの予測も示さてています。

 呼吸器専門医の1人でノースウェル・ヘルス喫煙対策センターのAndrea Spatarella氏は、今回のFDAの動きを称賛し、紙巻きたばこのニコチン含有量の削減は「素晴らしいコンセプトだ」と評価。「たばこを原因とした死亡者数は多く、国民の健康に重くのしかかっている負担を軽減、あるいは解消するための取り組みであれば、どのような内容であろうと検討に値する」と話しています。

 反たばこ団体の米たばこフリー・キッズ・キャンペーン代表のMatthew Myers氏も、「規制によって得られるベネフィットは極めて大きい。できるだけ迅速に導入してほしい」と話し、「これ以上、喫煙する若者やそれによって命を奪われる若者を増やさないために、この計画を阻むいかなる動きも認めるべきではない」と強調しています。

 しかし、一部の専門家からはニコチン規制の効果を疑問視する声も上がっています。米レノックス・ヒル病院の呼吸器専門医であるLen Horovitz氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量を抑えれば、喫煙者はたばこの本数を増やすだけだろう」と予測します。前出のSpartarella氏も「満足できる量のニコチンが含まれていなければ、喫煙本数を増やす喫煙者はいるだろう。違法なルートで高用量の紙巻きたばこを手に入れようとする人もいるかもしれない」と話しています。

HealthDay News 2018年3月15日
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