非歯原性歯痛:原因不明の歯痛・顔面痛で困ったら~誤って抜髄・抜歯をしないために~

参考:社会保険診療報酬支払基金神奈川県支部

(内容一部抜粋)

非歯原性歯痛:原因不明の歯痛・顔面痛で困ったら
~誤って抜髄・抜歯をしないために~

 歯が原因ではない”歯痛”は「(非歯原性歯 non-odontogenic toothache)」と呼称され、数多く存在します。誤診による無意味な抜髄を防ぎ、患者とのトラブルを未然に回避するためにもこれらの疾患と鑑別法を知っている必要があります。

  • 群発頭痛の痛みは上顎最後臼歯の激痛と自覚されるため、患者の30%が歯科医院を受診し、16%が歯科医の誤診により抜歯されているという報告があります。
  • 三叉神経痛の患者のほとんどは、「歯の痛み」だと自覚するため最初に歯科を受診します。無歯顎の場合は、顎堤部が痛むことから義歯調整が繰り返されていることもあります。
  • 舌咽神経痛は、大開口時痛や食事時の痛みが主訴になるために、顎関節症と誤診します。
  • 側頭動脈炎:咀嚼時の筋痛が主訴になるため、やはり歯科医の目には顎関節症に見えますが、適切な治療が遅れると失明に至ります。
  • 帯状疱疹性歯痛:三叉神経第2・3枝の帯状疱疹では、ウイルスによる神経障害により、夜も眠れないほど激しい歯痛が生じることがあります。
  • 急性上顎洞炎による歯痛:冬場に多く、上顎臼歯部に歯髄炎様の強い痛みを訴えます。X-Pでは異常が認められませんが、打診痛が著明なため抜髄が行われることがあります。
  • 非定型(特発性)歯痛は:初発時には歯髄疾患の様に見えます。X-Pでは何の異常もないのに、患者が痛みを訴え、何ヶ月も根管治療を続けたあげく、抜歯してしまうことがあります。しかし中枢性の痛みですから、抜歯しても痛みは消えません。治療の第一選択は三環系抗うつ薬による薬物療法です。
  • 精神疾患:歯科治療をきっかけに、めまいや頭痛、気分の落ち込み、全く無関係な部位の異状などの不定愁訴を訴え始めた患者さんをかかえていませんか?また、診療室で怒鳴ったり泣き出したりするような患者に困惑したことはありませんか?このようなケースは、精神医学的な知識で説明可能な場合が多く、身体表現性障害(身体症状症)・うつ病・パーソナリティ障害などの概念が役に立ちます。