TOOTH WEAR(咬耗症) アブフラクションの処置

参考:3M Ultra Review vol.4

患者のハートをつかむAtt.(咬耗症)の処置
~治療テクニックと患者とのコミュニケーションについて~

東京都開業 高橋 英登 先生

 

超高齢化社会の到来とともに健康で長寿な高齢者が増えています。しかし、一方では加齢に伴う生体の変化が歯牙にも起こっています。歯科においても年齢の変化に合わせた生体親和性を目指した治療がますます重要になってきているとおっしゃる高橋先生に、高齢化社会の新たな課題「Att.」の対処法と治療テクニックについてお話を伺いました。

井荻歯科医院 院長
東京都杉並区歯科医師会 会長

 

高齢者によくみられるAtt.とはどんな症例ですか?

最近高齢者の患者さんの治療をしていると、しっかり残っている歯牙が齲蝕でもないのに溶けたり欠けたりするTooth Wearを発症しているケースがよく見受けられます。特に、ほとんど動揺のない前歯がしっかり残っている65歳以上の高齢者では、下顎前歯先端部に咬耗によるTooth Wearを発症していない方は皆無と言っても過言ではありません。これがAtt.(Attrition、先端咬耗症)です。
エナメル質の咬耗量は30年間で1mmと言われており、下顎のエナメル質の厚みを考慮すると、象牙質の露出が生じることは当然のことと思われます。

Att.を放置しておくとどのような問題が生じるのでしょうか?

Att.は、齲蝕や歯周病のような疾病ととらえにくいため放置されやすいおですが、咬耗が進行すると、次のような様々なトラブル発生の起因になると考えられます。

●アンテリアガイダンスが失われる事による顎関節のトラブル
●咬合高径が変位することによる顎関節のトラブル
●鋸歯状に残存するエナメル質による舌損傷
●Food Impaction → 歯周疾患悪化を惹起
●切端中央部の着色象牙質の露出による審美不良
●歯髄失活に起因する歯質変色による審美不良

Att.の対処法は?

Att.の治療には、簡単で審美的に治療できるコンポジットレジンの使用が適しています。中でも、私は自然な咬耗に追従するように摩耗してくれる、しなやかな弾性を持ち。窩壁への適合性に優れたフロアブルレジンを用いることが最適だと考えています。
さらに、前歯部の審美ゾーンでAtt.が発症している場合は、充填後の変色や着色のリスクを低減するために、研磨性に優れたナノフィラーを採用したフロアブルレジンの使用が望ましいのではないでしょうか。研磨性が優れていることによって対合歯へのダメージも少なく、舌感も滑らかになるので、患者さんにも大変喜ばれます。
多くの場合、Att.の症例では象牙質が露出していますので、シェードは象牙質の色を遮蔽できる透明度の低いオペークシェードを効果的に使用することがポイントになります。
また、Att.の治療に使用するボンディング材は、エナメル質と象牙質の双方に安定して高い接着力を持つ製品を使用することは言うまでもありませんが、先生方も、同一口腔内で多数歯を治療される際に、取り出したボンディング材が数分後に硬化してしまい、お困りになった経験をお持ちだと思います。Att.は3-3の多数歯にわたって発症していることが多いので、操作余裕時間が長く、溶剤が揮発しにくいボンディング材の使用が望ましいのではないでしょうか。

治療後の患者さんの反応はいかがですか?

私はTooth Wearなどの症例をコンポジットレジンで治療した後、患者さんに「白いセラミックで充填しておきましたからね」とお話するように心がけています。患者さんは治療後の白い歯をご覧になって、非常に満足していただいているようです。現在使用されているコンポジットレジンはフィラー含有率が高く、プラスチックが主体の材料ではありません。セラミックが主成分の複合材ですから。
メーカーの企業努力によって、コンポジットレジンの物性は日々進歩を遂げています。補綴物から溶出する金属イオンの問題や、金属価格の高騰、MI治療の普及などを考慮すると、生体親和性が高く、審美性の点でも患者さんから高い満足度の得られるコンポジットレジン修復は、多くの先生方の日常臨床にとって、まず第一に選択しなければならない治療オプションになると思われます。

 

 

Dr.堤より
自費でルクサボンドを用いWファイバーで形成
無麻酔