「デザイナーベビー」誕生の実現性は?

「デザイナーベビー」誕生の実現性は?

参考:@m3.com 2019.12.9

実現はほど遠いとの研究結果

 
 

 

 受精卵の段階で遺伝子を操作して、親が望むような外見や資質を備えた「デザイナーベビー」を誕生させることは可能なのでしょうか――。ヘブライ大学(イスラエル)のShai Carmi氏らはこのほど、その実現はほど遠いとする研究結果を、「Cell」11月21日オンライン版に発表しました。

 体外受精(IVF)や胚(受精卵)スクリーニングなどの生殖技術が急速に進み、高度な遺伝子編集技術が登場したことで、身長やIQなどの特性についても胚を選別できる可能性が示唆されています。このような技術により、親が望むような容姿や才能を持たせるように遺伝子改変した子どもを誕生させることが現実味を帯びてきたが、胚スクリーニングの結果は不明で、倫理的な批判も大きいです。

 そうした中、2018年には、中国の研究者らが、「CRISPR(クリスパー)」と呼ばれる遺伝子編集技術を用いてヒト胚の遺伝子を改変し、この胚を女性の子宮内に移植。双子の女児を誕生させたと発表したことで、再び議論が巻き起こっています。

 Carmi氏らは今回、コンピューターシミュレーションを用いて、複数の遺伝子によって決定づけられる「IQ」と「身長」の2つの形質について、胚スクリーニングで選別できる可能性を分析しました。その結果、現在の技術では、IVF胚を選別しても、実際に子どものIQや身長を十分なレベルにまで高めたり、延ばしたりするのには限界があると結論づけられました。

 Carmi氏は「IQが平均より2ポイント高いと予測される胚を選んだとしても、実際に誕生した子どものIQが高くなるという保証はない。IQや身長といった形質には、現在知られている遺伝子変異の情報では説明されない多くの変異が関与している」と説明しました。同氏らは、単一の遺伝子異常により発症する遺伝疾患と比べて、複数の遺伝子の影響を受ける特定の形質について胚を選別するのは、想像以上に複雑な技術を要することが分かったとしています。

 また、Carmi氏によれば、胚のゲノム配列の決定は、5年前と比べると容易に行えるようになっており、いくつかの形質に関与する遺伝子変異も明らかになっているといいます。しかし、同氏は「嚢胞性線維症などの重篤な遺伝疾患を除いて、特定の形質を持つ胚を選別することには議論の余地がある」と強調しています。この技術は、ヒトの遺伝形質の改良を提唱する優生学や不平等に関わる多くの問題を提起するものでもあると付け加えています。

HealthDay News 2019年11月21日
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