「禁煙五輪」東京で後退? 2020年に向け政府、警告文強化や増税検討

参考: 2016年3月23日 北海道新聞

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、政府が、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策の強化に乗り出しています。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は、「たばこのない五輪」を目指しており、ロンドンやリオデジャネイロなどの開催地では飲食店や宿泊施設などが禁煙になりました。日本政府は、罰則を含めて導入を検討していますが、反対意見も根強く、「禁煙五輪」の流れが東京大会で後退しないか懸念されています。 ■「世界に遅れ」の声/根強い反対も  IOCは1998年に禁煙を打ち出し、04年のアテネ大会では罰則付きで禁煙を義務付ける法律が制定されました。飲食店などに禁煙や分煙を求め、違反した施設管理者に罰則を科しました。14年のソチ大会では飲食店は全て禁煙、市内のホテルも客室で喫煙した宿泊客に約1万円の罰金を求めていました。  1月末、日本政府も内閣官房などで構成する検討チームを発足させ、受動喫煙対策を検討中です。課題は多く、(1)飲食店やホテルなど、どのような施設に屋内禁煙や分煙などの対策を求めるか(2)対象は東京だけなのか、全国に広げるのか(3)罰則の有無や、罰則の対象が喫煙者なのか、施設管理者なのか―などです。東京都では条例化を検討していましたが、昨年5月に結論を先送りすることにしました。  また1月に、日本禁煙学会(東京)など110団体は、たばこの包装にある警告表示の強化を求める要望書を厚生労働省などに提出しました。日本赤十字社医療センター(東京)の神経内科医で、同会の作田学(さくたまなぶ)理事長は「日本は文字だけで危険性を知らせているが、82カ国では、黒ずんだ肺などの写真を使っている。日本は世界に遅れている」と指摘しています。  日本では、包装の主要面の30%以上に喫煙で肺がんや心筋梗塞などの危険性が高まることを記載するよう定めています。一方、WHOは主要面の50%以上を警告に充てるべきだとの認識です。海外では日本より規制が厳しく、健康被害を強調する写真付きの警告を義務付ける国もあります。  政府は、警告文の表現を強めたり、表示面積を拡大したりできないかを検討しており、6月までに方向性をまとめる予定です。  政府内には、たばこ税の増税を求める意見もあります。塩崎恭久(しおざきやすひさ)厚労相は「税率引き上げは喫煙率を減らし、がんを予防する観点から重要。財務省などに積極的に働きかけたい」と述べていますが、消費税の軽減税率制度導入で発生する税収減の「穴埋め財源」にする狙いもあります。  ただ、増税は、葉タバコ農家への影響が懸念され、自民党の反対が根強いです。仮に来春に実施すれば消費税率引き上げと重なり、値上げ幅がさらに大きくなることが予想されます。販売量が落ち込み、期待したほど税収が伸びない可能性もあります。  日本に住む外国人からは「日本はたばこに寛容」という声を聞きます。「夜のバーが禁煙なのはいかがか」と話す政府高官がいるほどです。販売業者や飲食店業界では、罰則など強制力を伴う措置に反対論も少なくありません。 ■美唄市「受動喫煙防止条例」7月施行/札幌市 飲食店など認証制度  道内では美唄市が道内初の「受動喫煙防止条例」を7月1日に施行します。条例では学校や病院、公共施設などの管理者に対して、施設内や敷地内を禁煙とするよう求めました。また、喫煙者には児童生徒が登下校時に通る校門の半径100メートル以内の路上や公園では受動喫煙防止に努めることなどを求めています。  同市では条例施行に向けてポスターやリーフレットを作製し、公共施設や医療機関などに掲示したり、配布したりしています。市健康推進課は「受動喫煙防止を市民の健康増進に役立てたい。美唄は空気がおいしいまちと言われるようなれば」とアピールしています。  東京五輪でサッカー会場となる札幌市には、受動喫煙対策の条例を作る動きはありません。ただ、禁煙や完全分煙を実施している飲食店や学校などの認証制度を2005年3月からつくり、認証した施設をホームページで紹介しています。16日現在の認証カ所は禁煙で728カ所、完全分煙で88カ所です。  13年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、道内の喫煙率は27・6%で都道府県別で最悪。中でも女性の喫煙率は全国平均より7ポイント以上高い17・8%です。道は「妊産婦の喫煙は低体重児の出産につながりやすく、リスクが大きい。市町村と連携し、禁煙を呼びかけたい」としています。一方、道独自の条例制定については「まずは国の法整備の動向を見極めたい」(地域保健課)と述べるにとどめています。
Dr.堤より 海外では当たり前になっている、公共の全面禁煙がなぜできないのか?反対意見に隠れるJTに動かされる議員連盟の思惑。消費税の軽減税率制度導入で発生する税収減の「穴埋め財源」にする狙いもあります。でも全面禁煙による効果は国として、医療費の削減に大きな効果があるのですから?