感染症 「たかが蚊」は間違い 国立国際医療研究センター感染症対策専門職・堀成美

参考:その他 2016年4月11日 (月)配信毎日新聞社

感染症:ならない・負けない・広げない  「蚊に刺されたくらいで、こんな病気になるとは知らなかった」。帰国して体調が悪化して入院することになった患者さんが、病室へ向かう車椅子でつぶやきます。病名はマラリアやデング熱。海外旅行で出かけた先で蚊に刺されてしまったことが原因です。  海外に行く時、レストランや観光地のチェックは多くの人がします。でも「何か感染症がはやっているかな?」と情報収集したり、「蚊の対策をしなくちゃ」と考えたり、具体的に備えをしたりして出かける人は、どれくらいいるでしょうか(私は医療者になる前はしていませんでした)。  海外に出かける前に相談できる「トラベルクリニック」や「渡航者外来」は、日本ではまだ知名度が高くありません。そして、来院された方に医師や看護師が熱く蚊の対策を語っても「なぜ?私が出かける先は途上国とかじゃないのに……」と不思議そうな顔をされます。蚊は日本人にとって、季節の風物詩。危機感を持ちにくいんですね。世界全体で見ると、ヒトにとって最も危険な動物は蚊。2番目がヒト(つまり殺人)、3番目がヘビです。サメやライオンじゃないのです。  医療機関が助言している蚊の対策は、こんな感じです。まず「肌を露出しない」。物理的に保護するので効果が期待できそうですが、高温多湿の地域ではかなり苦痛(せっかく塗った虫よけ剤も汗で流れそうです!)。服の上から刺してくる容赦のない蚊もいます。  次に「虫よけ剤」。効果は製品によってばらつきがあるので、一定時間たったら塗り直します。朝に塗ったら夕方までOKというわけではありません。現地の空港や薬局でより効果の高いものを入手することもできます。日焼け止めも塗る場合は、最初に化粧水、その上から日焼け止め、最後に虫よけという順で塗ります。  行き先や季節によっては、宿泊先にあらかじめ連絡してモスキートネット(蚊帳(かや))を予約しておくこともお勧めです。ネットで購入もできます。  マラリア流行地に一定期間行く方には予防内服薬の選択があることも伝えます。これを知らず感染し、入院する人が毎年いますので、流行地に派遣する会社や大学にも危機意識を持ってほしい情報です。ゴールデンウイークや夏休みの海外旅行計画を立てる時期です。海外に行く時は厚生労働省検疫所のホームページで、流行状況や対策の情報をゲットしましょう。
Dr.堤より 社会的なキャンペーンの駆除対策が必要だ。