ダニ媒介感染症の小児例、本邦初報告

参考:軸丸靖子(m3.com編集部)

成人例より軽症、遅発でも咬傷あれば精査を

 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ウイルス保有マダニに咬まれることで感染する新興感染症です。2011年に中国で初めて報告され、日本では2012年秋に死亡者が出ました。以来2015年9月末までに20府県で158例の感染が報告され、うち43例の死亡が確認されています。SFTSは年齢中央値が74歳と高いことでも知られますが、その小児例が2015年6月、国内で初めて確認されました。成人例のような重症には至らず、4病日に入院したが12病日に退院したといいます。  報告した産業医科大学病院小児科の川瀬真弓氏によると、感染したのは生来健康な5歳女児。5月下旬に近所の山へ出かけた4日後に左耳介後部に有痛性のリンパ節腫瘤が、その翌日には37℃後半の発熱が出現しました。6日後の朝(3病日)、女児の左頭頂部に5ミリ大のダニが付着しているのを母親が発見。近医にて咬傷部周囲の皮膚を切除しました。身体所見では目脂を伴わない両側眼球結膜充血も認められました。帰宅後には39℃台に熱が上昇、4病日目にも持続したため、近医でダニ媒介性感染症を疑い、同日産業医大病院に入院しました。ダニ発見から入院までに2回の嘔吐がありました。  入院時にも38℃後半の熱はありましたが、全身状態は比較的良好であり、意識も清明でした。ダニ媒介性感染症に該当する所見として眼球の充血とリンパ節腫張、熱感、著明な圧痛がありましたが、血液検査では白血球や血小板の減少は認められませんでした。  全身状態が良好だったことから輸液のみの経過観察を行いましたが、高熱が持続。6病日の血液検査で白血球数2300/μL、血小板数10万9000/μLへの減少、および肝逸脱酵素(AST)の軽度上昇を認められました。その後、PCR法での検索を依頼していた血液からSFTSウイルス陽性が判明し、SFTSと確定診断しました。  女児はその後8病日に解熱し12病日に退院しました。一時7万1000/μLにまで低下した血小板数は退院時には12万5000/μLに回復し、再度の低下はありませんでした。SFTSの臨床的特徴とされる発熱やリンパ節腫張、消化器症状、白血球減少および血小板減少、肝逸脱酵素の上昇は認められましたが、成人で言われるような点状出血や吐血、神経症状は最後まで見られませんでした。  SFTSは多ければ30%が死に至る疾患だが、小児については海外でのわずかな報告を見る限り死亡例はありません。全般に軽症であり、白血球や血小板の減少も成人に比べ遅発することが多いといいます。  川瀬氏は、「過去の報告と本症例から、小児は成人より重症化しにくい可能性があり、その要因を解析するためにも小児例を蓄積する必要がある」としながら、「ダニ咬傷後に38℃以上の熱が続く場合は、血小板減少がなく、身体症状が乏しい場合もSFTSを疑い、確定診断のための検査を進める必要がある」と述べました。