鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:2013年版 アレルギー性鼻炎ガイド

参考:鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会

アレルギー性鼻炎は年々増えています。 日本全国の調査結果により、ダニ等が原因で起こる通年性アレルギー性鼻炎やスギ花粉症の患者さんは、1998年から2008年の10年間で増えていることがわかりました。 都市化、温暖化、密閉住宅環境でのエアコン生活で、室内環境がダニ繁殖を促す、通年での温度上昇が影響しています。 通年性アレルギー性鼻炎は若い人に多くみられます。 アレルギー性鼻炎は、種類によって多い年齢に差があります。スギ花粉症が中年の人に多いのに対し、通年性アレルギー性鼻炎は10~20代の若い人に多くみられます。また、最近では、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の両方を持つ人も増えています。 通年性アレルギー性鼻炎は、ダニや家の中のちりが原因で起こります。 通年性アレルギー性鼻炎の主な原因は、家の中のちり(室内塵、ハウスダスト)やダニです。これらのアレルギーを起こす物質を「アレルゲン(抗原)」と呼びます。 ちりの中には、ダニの他、ガやゴキブリなどの昆虫、ペットの毛、カビなどの真菌、フケなども含まれ、これらもアレルゲンとなります。 ダニでは、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニといった、ヒョウヒダニ(チリダニ)と呼ばれる種類のダニがアレルゲンとなります。 アレルゲン(抗原)が体内に侵入すると、免疫反応が起こります。 ダニ等の「アレルゲン(抗原)」が体の中に入ると、体内では免疫細胞が反応し、「抗体」と呼ばれる物質を作ります。 これが粘膜にある「肥満細胞」という別の免疫細胞にくっつきます。 肥満細胞には、「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」と呼ばれる、症状のもととなる化学物質が多く含まれています。 アレルゲン(抗原)と抗体がくっつくことで、これらの化学物質が放出し、神経や血管を刺激して、くしゃみや鼻みず、鼻づまりなどが起こります。これがアレルギー性鼻炎です。 通年性アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりです。 通年性アレルギー性鼻炎では、次のような症状がみられます。
  • 鼻症状:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、鼻のかゆみ
  • 眼症状:目のかゆみ、充血、涙目
  • その他の症状:皮膚のかゆみ、のどのかゆみ、せき喘息や喘息の悪化、頭痛等
通年性アレルギー性鼻炎では、花粉症に比べて喘息やアトピー性皮膚炎を合併する割合が高く、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)や皮膚のかゆみを伴うことが多くあります。また、口呼吸によりのどが乾燥すると、アレルゲンがより体内に侵入しやすくなる可能性もあります。 通年性アレルギー性鼻炎は、花粉のような季節性のものとは違い、1年中アレルゲンがあるため、症状も1年中みられます。特に、ダニアレルゲンによるアレルギー性鼻炎では、発作性・反復性の鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりが、朝起きた時や気温の変化などにより起こることが多いといわれています。 アレルギー性鼻炎の診断には、さまざまな検査が必要です。 ダニを原因とするアレルギー性鼻炎の診断 年間を通じて、くしゃみや鼻のかゆみ、鼻みず、鼻づまりの典型的な鼻症状があり、目のかゆみなどの眼症状、せき、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、呼吸困難などの喘息症状を伴う場合は、ダニアレルギーである可能性が考えられます。 これに皮膚テストや血清特異的IgE抗体検査の結果を組み合わせて診断します。さらに、鼻汁の好酸球検査が陽性、あるいは誘発テストが陽性であれば、ダニアレルギーと確定されます。 アレルゲンの量を減らすことが治療への第一歩です。 アレルギー性鼻炎の治療では、原因となるアレルゲン(抗原)の量を減らすことが重要です。掃除や洗濯をこまめに行い、できるだけダニ等を吸入しないように心掛けましょう。
  • 掃除機がけは、吸引部をゆっくりと動かし、1畳当たり30秒以上の時間をかけ、週に2回以上行う。
  • 布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる。
  • ベッドのマット、布団、枕にダニを通さないカバーをかける。
  • 布団は週に2回以上干す。困難なときは室内干しや布団乾燥機で、布団の湿気を減らす。週に1回以上、掃除機をかける。
  • 部屋の湿度を50%、室温を20~25℃に保つよう努力する。
  • フローリングなどのホコリの立ちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかける。
  • シーツ、布団カバーは週に1回以上洗濯する。
アレルギーの原因となるチリダニ
世界には55,000種以上のダニが存在するといわれており、日本には約2,000種が生息しています。人間の住環境に生息する有害なダニは、このうち8%程度です。 身近なところでは、アレルギーの原因となるヒョウヒダニがいます。これらはチリダニとも呼ばれ、カーペットや畳、布団などに潜み、はがれ落ちた人の皮膚や髪の毛などを食べて暮らしています。 アレルゲンになるのは、チリダニの体表の分泌物や、消化管の中にある内分泌物が糞とともに散乱したものなどです。生きているチリダニだけでなく、死骸もアレルゲンとなります。 新品の畳や穀類などに発生するコナダニも、チリダニと同じグループに属する仲間です。彼らは人間の皮膚を刺したり噛んだりすることはありませんが、これらが増えると、これを食べるツメダニが増え、このツメダニが人を刺します。一口にダニといっても、その種類はさまざまです。 ダニアレルゲンは秋に増える ダニアレルギーの原因とされるチリダニは、室内温度25℃以上、相対湿度60%以上の環境で繁殖しやすいといわれています。実際、家庭でのチリダニの数は、1年を通して夏に最も増えることがわかっています。 秋に入って過ごしやすい気候になると、チリダニの数自体は減少しますが、ダニアレルゲンの量はそれ以降も増え続け、秋にピークを迎えます。そして、真冬に向かって徐々に少なくなっていきます。 冬でもアレルゲンがなくなるわけではないので、ダニアレルゲン対策は年間を通して必要です。 チリダニの寿命は3ヵ月~1年 ダニアレルゲンとなるチリダニ(ヒョウヒダニ)には、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニといった種類のダニがいます。 これらのダニは20~30日で卵から成虫になり、高温の場合はより早く育ちます。チリダニの寿命は至適条件下では3ヵ月~1年で、雄よりも雌の方が寿命が長いといわれています。雌は通常、1日1~3個、多い時では7個の卵を産み、一生の産卵数は約80個と推定されています。 チリダニの至適温度は25~30℃ですが、至適湿度はヤケヒョウヒダニでは75%前後、コナヒョウヒダニでは65%前後と考えられています。そのため、チリダニの除去には部屋の湿度を50%、室温を20~25℃に保つよう努めることが望ましいとされています。 日本の夏は温度・湿度ともに年々上昇傾向にあり、最近の住居は機密性も高いので、換気や除湿はこまめに行いましょう。