Lesson140


悲しい現実、現代のストレス解放はたばこ?
WHOたばこ規制条約も効果がない?



たばこ規制条約発効5年 喫煙者減に「成果なし」 WHO

 ◇「女性」「途上国」は増加傾向

  【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)が、保健分野で初の多国間条約である「たばこ規制枠組み条約」の発効から2月末で5年が経過した現状をまとめたところ、各国でさまざまな禁煙措置が導入されているにもかかわらず「喫煙者を減らす」目標はほとんど成果をあげていないことが分かった。

  WHOは「世界的に喫煙者数が減少しているとは言えない。途上国では増加傾向にあり、女性の喫煙者は増えている」と認めている。喫煙は今なお、国・地域ごとの文化・風俗の要因が強い傾向がうかがわれる。

  WHOはたばこを「法律で禁止されていない唯一の有害物質」と位置づけ、世界の喫煙人口を13億人とし、年500万人が喫煙が原因の病気で死亡していると推定している。喫煙者は2025年までに17億人に増えるとの推計もある。

  地域別で比べると、規制強化と喫煙者数の因果関係は必ずしもはっきりしない。喫煙制限が最も進んでいるヨーロッパでは、男性喫煙者が減ったものの、女性喫煙者は16%と世界で最も多く、最も少ない東地中海地域(4・5%)の3倍以上に上る。

  また、東南アジアはたばこ税率が58・3%でヨーロッパの50・2%より高いが、男性喫煙者は43%と最も多い。逆に、喫煙規制があまり進まず税率も35・4%にとどまるアフリカは、男性喫煙者が28%と一番少ない。

  WHOは条約に、たばこ税の強化、公共の場での喫煙制限などを盛り込み、各国で多くの取り組みを進めている。

  また、WHOは、新たな規制作りに意欲的で、14日からの政府間交渉では、たばこの不法貿易に関する規制原案をまとめる。正規の輸入ルートを通らない安いたばこが若年層への喫煙を広げているとして、たばこ1箱単位で追跡するシステムを導入する構想だ。11月にウルグアイで行われる第4回たばこ規制枠組み条約会議での採択を目指している。


(2010年3月9日 提供:毎日新聞社 )