Lesson296

がん死亡率ワースト返上目指し 課題は150億円の建設費、
患者の自己負担は約300万・・・原因はたばこだけでは・・・
ガンは闘病に費用かかる



重粒子線施設:弘大、導入へ本腰 がん死亡率ワースト返上目指し 課題は150億円の建設費 /青森

 体の深部のがん治療に効果的とされる「重粒子線治療」の導入を目指し、弘前大(佐藤敬学長)は今年度、弘前市や県と連携を強めて文部科学省に「必要性」を訴え、施設誘致に動き出す。約150億円に及ぶ建設費が最大の難題。「がん死亡率ワースト県」の汚名返上を旗印に、世論喚起から始める「急がば回れ」の長期戦の構えで臨む。【松山彦蔵】

 弘大は10年4月、学内に「北日本重粒子医学センター(仮称)」設置検討委員会(委員長・羽田隆吉学長特別補佐)を置き、情報収集に努めてきた。

 重粒子線施設は現在、千葉市と前橋市、兵庫県たつの市の3カ所で稼働、神奈川、佐賀両県で建設中。最新の群馬大重粒子線医学研究センター(前橋市)は10年6月から治療を開始し、重粒子加速器などを含む建設費は約125億円だった。

 羽田補佐は「普及型とされる群馬大施設と他施設との相違を調査している。システム構築を含めれば事業費は150億円に達する見込みだ」と話す。一方で、同施設は群馬県以北にはない現状から、同補佐は「北東北、北海道地域の空白性」を強調していくという。

 羽田補佐によると、本県はがん死亡率が05〜10年連続ワーストを記録し、秋田、岩手両県と北海道を含む「がん最多発地帯」を形成している。

 羽田補佐は「がん死亡率を減らすという、施設導入の必要性を市民や県民にも訴え、理解と機運を高める地道な運動から始めたい」と説明。具体的には、弘大や弘大付属病院などが行う講演会などのイベントで重粒子線治療の有効性を伝える。設置候補地の弘前市とも連携を強める方針だ。市も県に対し「施設の重要性を周知し、国や産業界へ一緒に働きかけてほしい」と7月25日、重点要望することにしている。

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 ■ことば
 ◇重粒子線治療
 放射線の中でヘリウムイオンより重いものを「重粒子線」と呼び、中でも炭素イオンを治療に使う。炭素イオンを専用の加速器で光の約70%の速さまで加速し、体に照射する。がん病巣のみにダメージを与えることができ、通常の放射線治療より副作用が少なく、痛みもなく治療期間が短いとされる。現在、保険診療外の先進医療扱いで、患者の自己負担は約300万円という。


2012年6月29日 提供:毎日新聞社