「受動喫煙に関する屋内労働者8000人の意識調査」を行った、ジョンソン・エンド・ジョンソンが7月19日、その調査結果を発表した。近年、タバコに対しての禁煙・分煙の動きが広く社会に普及しているが、中には都道府県・地方自治での法律や条例制定、公的機関・施設での全面禁煙の義務化の動きが顕著になってきているなど、こうした社会の状況の中で、職場の受動喫煙対策を義務付ける労働安全衛生法改正案が今国会で審議されていることを踏まえ、労働者の最新の意識を確認するのが狙いとされている。受動喫煙に関する調査のため、対象を主に屋内で働いている男女8000人に限定した。今年5月25日から31日の間にインターネットで調査した。
結果として、6割以上が賛成していることが判明し、一部にある「個人の自由という権利主張」などを理由にした反対は少数であったとされる。また、概ねこの義務化が施行されても、社会活動・ビジネスへの影響は少ないとする回答は7割になった。法律や条例で全面禁煙を義務化することについては、「賛成」45%、「やや賛成」19%で、全体の64%が賛成と回答し、「反対」8%、「やや反対」8%をあわせて反対は16%にとどまった。
ビジネスへの悪影響は与えないと思うとする回答が70%に達する一方、具体的に「顧客は多少減り、売上も多少下がると思う」「顧客は減り、売上が下がると思う」と、悪影響が出ると回答したのは16%だった。ただ、「娯楽業」と、「飲食業・宿泊業」だけは、他業種に比べ悪影響が出るとの回答が多く、それぞれ38%と40%だった。業種による相違がさらなる検討分析が必要とする意見もあった。
なお、禁煙については、医師・歯科医師の広範な連携によって国民をタバコの害から守ることを目的として、「禁煙推進医師歯科医師連盟」が1992年(平成4年)5月31日の世界禁煙デーを契機に結成されている。
一方で、日本歯科医師会も積極的に取り組んでいる。平成17年には、「禁煙宣言」を出し、広く社会・国民にその趣旨への理解を訴えている。要旨は以下のとおり。
「喫煙と無煙たばこの使用、ならびにそれに伴う受動喫煙による健康被害は、がん・心臓病等全身の健康に影響を及ぼすことが明らかになっている。喫煙は口から行われるため口腔領域に直接的影響を及ぼし、歯周疾患、口腔がん、根面のう蝕、口唇・口蓋裂、歯の喪失、歯や歯肉の着色、口臭など、その被害は多様である。
さらに、喫煙は、歯周治療、インプラント、抜歯等の術後治癒に影響し、治療歯の喪失や充填物の着色など主要な歯科治療の効果にも重大な影響を及ぼす。たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在及び将来の世代を保護するため、たばこの使用の中止及びたばこへの依存の適切な治療をすすめることは、保健医療専門職としての基本的な役割である。
また、口腔領域は喫煙の悪影響と禁煙の効果を直接確認することが容易であることから、歯科保健医療専門職による喫煙対策の推進は効果的であり、国民の健康に大きく貢献できるものである。このような背景をもとに、日本歯科医師会は、国民の口腔および全身の健康とより良い歯科治療を確保するため、喫煙対策が重要な課題であることを認識し、以下に掲げる行動規範を推奨することにより、積極的に喫煙対策を推進することを宣言する。
@喫煙対策を推進する保健医療専門職の模範としての役割を担う、A喫煙対策に関する調査とその評価を行い対応する、B施設ならびに行事を禁煙化し、健康に関連する行事に喫煙対策を含める、C日常的に喫煙の状況を尋ね、禁煙の助言と支援を行う、D歯科専門職の教育研修プログラムに喫煙対策を含める、E5月31日の世界禁煙デーの活動に積極的に参加する、F喫煙対策活動のネットワークに参加する」。
|